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量子コンピュータってのは「0でも1でもある状態」を保持できる素子で構成される計算機のことです。中間値を取るわけではなく「同時に両方の数である」がポイント。で、超大雑把に言うなら「0でも1でもある」×「0でも1でもある」とかの計算ができるわけです。問題はこの「どっちでもある状態」から値を取り出そうとするといわゆる観測問題により重ね合わせ状態そのものを壊してしまうということで、ここでちょっぴり嘘を混ぜ込むとオリジナルを保ったままの複製ができないとかいう世界設定は引っ張り出せるかな、と思います。
ということでわかりやすそうな解説ページとか一応挙げておきます。
まあ、「オリジナルがどうしても破損していく」という設定が欲しくてあてはめる理屈としては、今考えられる中では最上のものじゃないかと思います。情報をいったん量子状態でない形にするんだったらそこで複製ふたつ作っとけよ、とか思わなくもないですがそれは野暮ってことで。
開催国相手のおまけに緒戦、ということでコスタリカがまあセオリー通りにベタ引きで試合開始…だったのだけど。これがもう守り慣れてないのなんのって。引いているけど引いているだけでスペースを消すとかはさっぱり。そのくせ攻めるときの展開力とかは見るべきものがある。「いいからお前ら攻めろよ!」って感じ? 足元の技術はあるのでポゼッションがある程度確保できれば戦えたと思うのだが、プレスする意識もなければプレスされるのにも慣れてない――ということで、前半中ほどを過ぎたあたりからはドイツにプレスされてボロボロになっていた。
それでも戦えたのはやはりワンチョペの力、だろう。二人がかりでも守れないときには守れないスーパーな選手。これで最終ラインだか中盤だかにボールを落ち着かせられる選手がいればさぞ強かろう。
結果は4-2というやや大味なスコアではあったが順当にドイツ。しかしやや玄人的な目には面白い見所の多かった試合だった。
ロングスロー重要。
もうとにかくそんな感じの試合だった。明らかなポーランドのペースで立ち上がったが、右サイドでのデラクルスのロングスローからの先制点で流れが一気に変わる。直後にも再びデラクルスのスローインからいい形を作り、これでポーランドが完全に萎縮。
なにしろそれ以降右サイド深い位置で外に逃げることがなくなったぐらいの警戒ぶり。ポーランドももちろん攻めたが運動量の落ちてきた残り10分という絶好のタイミングでエクアドルが追加点。結局はエクアドルがペースを握ったままで離さずに押し切り勝ち、だった。
だがそれにしたってロングスロー重要。超重要。
ディフェンスと試合運びの上手さ。それだけで勝負が決まるんならサッカーにおける最強国はパラグアイだと言ってもいい。それぐらいにパラグアイの守備と試合運びは上手い。この試合もそうだった。前半は攻めさせる。ろくに体を当てないのに紙一重でボールが奪える。後半相手の運動量が落ちたところでエンジンをかけて攻めたてる。実にいつもどおりのパラグアイだ。
しかしイングランドには強烈な武器があった。前半早々、ベッカムのフリーキックのインチキっぷりが発揮されて先制。あれを狙ってやってるんだからひどい話だ。
だがパラグアイの落ち着きぶりは相変わらずであり、しかもすごかった。キーパーが負傷交代してもどこ吹く風、ゴール前のセーフティ感覚や残り15分での落ち着きぶりなど、ビハインドを背負っているとは思えない試合運び。そのイングランド
だがイングランド監督のエリクソンは流石の名将だった。完全に流れがパラグアイに傾いていた残り10分、ハーグリーブスの投入による「もう守ろう」というメッセージ。これでなんとか最低限の落ち着きを取り戻したイングランド。これでなんとか逃げ切った。
しかし飛び道具が決まってなければどうであったか。なんにしても、いい試合であった。
トリニダード・トバゴは初出場。従って下馬評では圧倒的にスウェーデン。
そして下馬評どおりにスウェーデンのペースで試合は開始。スウェーデンの長所は高さと強さ。だがそれは前線でFWさえ抑えれば守れるということでもある。そしてトリニダード・トバゴは強固な意志と愚直なまでの徹底ぶりで守備からのカウンターを狙い続ける。決定的なシーンを何度もしのぎながら、カウンターの形も見せ、前半を0-0で折り返す。
後半立ち上がり早々にA・ジョンがイエロー2枚で退場となるも、元より守り切るつもりのプランに変更はない。どころか、トリニダード・トバゴのベーンハッカー監督は点を取るための選手交代を行った。粘り強いディフェンスは相変わらず、点を取れないことでスウェーデンに焦りが見え始め、おそらくはプラン通りの展開にトリニダード・トバゴの冷静さは更に増していく。
こうなると、一流となるには中盤の構成力が不足しているスウェーデンは苦しい。愚直な形を続けるが、疲労と焦りで精度が落ちていく。トリニダード・トバゴの反撃こそ防ぐものの、点が取れる気配は消えていく。
終わってみれば、格下で退場者まで出したトリニダード・トバゴが、しかし明らかにゲームを支配していたという印象だけが残った。
オーストラリアのAFC移籍に向けた格付けマッチでもある、なんて歪んだ見方もしつつの試合。
前半は明らかなオーストラリアのペースで立ち上がる。川口の好セーブに幸運も加わり凌ぐがいつ点が入るかという流れ。しかし日本に幸運が訪れた。中村のクロスに反応したゴール前でGKシュウォーツァーが目測ミス、するりと頭上を抜けたボールがゴールに吸い込まれるという形で先制。最悪に近い形の失点で、目に見えてオーストラリアのメンタルが悪化する。攻撃はするも空回り感が強く、ことごとくを日本の前に阻まれた。
後半立ち上がり、前半問題のあった日本は確実に守備を修正させた。特に、スピードのある坪井が前、中澤と宮本が後方でケアという形は良く機能していたと思う。しかしその坪井が負傷で茂庭に交代。その隙を突いた――というわけではなかろうが、ヒディンク監督はとてもロジカルに布石を打った。後半に入って形を2トップ気味にいじり、60分にはDFムーアOUT、FWケネディINで3トップに変更。対する日本はそのまま3バックを続けてはもちろん数的に問題がある。その結果生まれるスペースを使うという意図でか更にMFウィルクシャーOUT、FWアロイージIN。ドラスティックではないが確実に狙いを定めた起用だ。対してジーコ監督の行った交代は柳沢OUT、小野INというものだった。おそらくは中盤の枚数を増やしてボールの出所を押さえ、あわよくば得点機を増やしたいというものだったのだろう。しかしフォアチェックが特徴でもある柳沢を下げたことはむしろ裏目に出た。
85分、セットプレーを防いだ後のロングスローからGK川口が処理をミスしたところからこぼれたボールをケイヒルが押し込んで同点。慌ててDF茂庭OUT、FW大黒という交代が行われるが、時既に遅し。89分、再びケイヒルが今度はミドルシュートを叩き込んで逆転。既に日本DFの足は止まっている。となれば91分、絶好のパスを受け取ったアロイージが駒野との1対1を軽くいなして追加点を叩き込んだのは必然にも思えた。
多様性をも戦術に組み込んで使うチームと、愚直なまでにシンプルなチーム。その違いが如実な差を作ってしまったような結果であった。
試合はどう見てもコートジボアールのペースで、それを粘り強いアルゼンチンのディフェンスがなんとか1点に押さえ込んだ。そんな展開だった。もちろんアルゼンチンも攻めていたが、いまいち迫力には欠けていた。リケルメがボールを持ったときさえ除けば。
リケルメは本当にひどい選手だ。守備の局面はおろか絶好のカウンターチャンスでも走らないし少しはボールを持てという場面でも平気で適当にボールを戻す。しかも持つときは実にわがままに延々ボールを持っている。チームプレイなどどこ吹く風だ。TV画面でもわかりやすいし、会場でもきっとわかりやすかろう。なんの意図もなさそうになにやらふらふらしている奴がいたらそれがリケルメだ。
思うにアルゼンチンという国でなければこんな選手は使われまい。格の問題ではない。歴史の問題だ。かの国にはマラドーナという前例があり、彼のためにチームを作った歴史があった。だからリケルメのためにチームを作れる。
そのリケルメが、なんにも言えなくなるような決定的な仕事をする。90分間で活躍する場面は片手で数えるほど、しかしそのいちいちが決定的。そのために残りの10人はひたすら走り、リケルメにボールを送り届ける。リケルメが決定的なパスを出し、FWなりがそれを叩き込む。それが2回。
まったくひどい話だ。確かに凄いが絶対に優勝して欲しくない、今回のアルゼンチンはそんなチームだ。
およそアメリカというのは世界で最もロジカルにスポーツをやる国で、それは育成からチーム構成からゲーム戦術に至るまでそんな感じだ。なにしろスポーツじゃなくて戦争に至るまでそんな感じなのだから、彼らはもしかするとロジカルにしか世界を認識できないし動かせないのかもしれない。そんなアメリカのサッカーは、やはり極めてロジカルだ。そのロジカルさでアメリカはサッカーの二流国としての地歩を固めてきた。その結果がまるで一昔前のドイツのようなサッカーというのは、実に興味深いと思う。
しかしながら、サッカーのチームとしてチェコはそれ以上にロジカルだと思う。豊富な運動量、誰もが使う選手であり使われる選手であるというスタイル。そしてサッカーで最後に勝負を決めるのはファンタジーだという信念。そのチームは「いかにロジカルにファンタジーを引き出すか」というロジックで構成されている。
確かにアメリカはロジカルに試合を支配した。少なくともボール支配率ではアメリカが優勢だった。しかしながら、サッカーはゴールの数を競うスポーツだ。そしてサッカーで勝つために必要なものをより多く引き出したのはチェコだった。中央とサイドで動きを連動させた上でのクロスからのヘディング、中央へのクロスの弾かれたこぼれ球を拾っての叩き込み、スルーパスで生んだGKとの1対1を制しての流し込み。全く形の違う、しかし全て流れの中での3得点。
確かにサッカーで勝つにはロジックが必要だ。けれどロジックでは埋まらない部分がそこにはある。それを心に刻み付けるような試合であった。
EURO2004ではぎりぎりの成績は残したものの、今世紀に入ってからW杯での戦績はいまひとつなフランス。思えばこのチームは3回大会続けて大して変わらないコアを維持し続けているのだ。
そしてコアが変わらないということは、すっかり対策も確立していることである。スイスは4-4-2の4-4をペナルティエリア前に近づけて張り、スペース/スルーパスを通す隙間を与えないという典型的なアンチ・アンリの守備を行う。
果たして試合は互角に進んだ。ボール保持もほぼ互角、攻撃機会はややフランスが上回るが、決定的に崩される形はお互いあまり現れない。むしろ一瞬の集中ではスイスが上かとも思う攻撃すらあった。よくよく考えれば、ヴィエラとマケレレがいるのにそうなのだ。実質はスイスが押し込んでいると言ってもよいほどだったろう。その良い形を維持するべく、スイスは後半早い段階から順次選手を代えていく。相手が交代という戦術オプションを失ってもなお、フランスは形を変えない。あるいは、変えられないのか。もとよりパワープレイは苦手なチームではある。だがあまりにも無策なまま、試合終了のホイッスル。
0-0、目論見を完遂した勝ちに等しい引き分けと、なんら発揮できなかった敗北に等しい引き分け。
終了間際、セットプレーに飛び込んだスイスFWフレイの「神の手」を狙ったプレーが全ての象徴のような試合であった。
前半20分にもならないうちにスペインがセットプレーから2点。しかしウクライナも苦しいながらなんとかペースを掴もうと足掻いているうちに前半終了。夜の試合ならいざ知らず、昼間の試合ではウクライナは苦しいなあ、と思っていたら後半開始早々、47分にゴール前の飛び出しを服を引っ張って妨害した…ということでウクライナDFワシュクにレッドカードが。故意の得点機妨害であるからカードが出るのは理解できるが、PKになるしそんなに酷いファールでもないしイエローが妥当に思えたのだが……ひょっとして今回のFIFA様推奨の厳罰事項だったりしますか?
ということでただでさえ厳しかったのに10人になりPKは実にさっくり決められて3-0。人数が減ったことで囲んで奪ってカウンター、というウクライナのゲームプランはほぼ完全に破綻した。こりゃもうスペインの圧勝に見えたし実際スコアはその通りだったのだが、ある意味スペインの本領発揮はここからだった。
確かに今回のスペインは強い。自慢の攻撃もそうだが守備的な選手のレベルもなかなか向上していると思う。
しかしながら、このチームには試合運びという概念が致命的に欠けている。少しは省エネに入ればいいのにちっともそんな気配がない。選手を下げて温存を図るのが精一杯で、華麗な攻撃を繰り返す。確かに81分の流れからのF・トーレスの得点は見事だったがその直後、カウンターを食らいDFがいなくてGKカシージャスが慌てて飛び出したがかわされた――ところをプジョルがなんとか体を入れて阻止、という一連の展開が実になんともスペインだった。負けてるならいざ知らず、勝っててもこれをやってしまう、そのへんのメンタリティがスペインの勝負弱さの根幹にあると思うのだがなあ。
楽なグループだし一位突破はすると思うのだが、勝負強さを持ったチームと当たったとたんに大撃破されそうな予感が漂ってくる試合であった。