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解説:エンパイアビルダー系ゲームへのトレード導入の効果予測

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解説:エンパイアビルダー系ゲームへのトレード導入の効果予測

クレヨン鉄道ゲームバリアントの記述の補足。

_エンパイアビルダー系のゲームは楽しいが、ゲームデザインとしてはわりと大味になりやすい。ボードの上にクレヨンで線路を描いていくというそのメカニズムは運用するだけで楽しいが、問題はその先だ。

線路を引いて、引いた線路に列車を走らせて、荷物を産地から指示された目的地へ運ぶ。すると報酬がもらえるので貰った報酬でまた線路を引く。エンパイアビルダーは、基本的にはそれを繰りかえすゲームだ。

運ぶ荷物と目的地は各自に配られたカードによって指示される。ゲームの最初に3枚配られて、各カードには3つの仕事が書いてある。達成したらそのカードは捨てて、山から代わりの1枚を引いてくる。運ぶ距離が長い仕事の方が、おおむね収入が多いようにできている。

_ゲームの勝敗を大きく分けるのは、このカードの引きだ。都市AからBに荷物を運び、Cに行って次の荷物を積み、それをDまで運ぶ。このときBとCか近ければ空荷の時間が短くなる。B=Cとなら更に嬉しい。あるいは2枚のカードが都合良くEで荷物を2つ積んでFとそれにほど近いGに運ぶようなことができればますます嬉しい。

そういう「嬉しい」組み合わせを発見して遂行できれば、そのぶんアドバンテージが得られる。他人の足をひっぱる要素はほとんどないので、アドバンテージを得た回数が勝敗に直結する。しかしそもそも発見するのにはそういう手札がこないといけない。

ではそういう手札をそろえるためにできることは?

答:なにもない

基本的には運任せ、神様なり仏様なりに祈るぐらいはできるけれど、祈るぐらいが関の山。短い仕事をガンガン回して手札も回す――という手が一見あるように思うが、短い仕事の合間の回送による損失は馬鹿にならない。

_問題は手札だ。山札からカードを引く以上、そこには運の偏りが発生する。その偏りによって生まれる良い流れをしっかり捕まえて一番手に踊り出るのはまあいい。問題は、一番手より運が良くなかった二番手以降が一番手に追いつくための手段があるかどうか。そしてその手段は標準ルールには用意されていない。

_で、これを是正しようとあれこれ考え始めるわけだ。初期の手札をn枚引いてそのうち3枚とか、手札を引くときにn枚引いてそのうち1枚とか、仕事を入札制にするとか、手札の代わりに共有の台札にするとか。しかしこれらの手段はあまり解決にならない。なぜなら、二番手以降を利するのと同様に、一番手を更に利する可能性があるからだ。一番手が更に伸びてしまっては、二番手以降に追いつくための手段となるかは怪しい。

_そこでトレードである。

トレードなら、一番手を利さないことができる。一番手とはトレードしない、基本的にはそれだけでいい。二番手以降がお互いの手札をやりとりしてよい形を作って一番手を追いかける。それで二番手が一番手を追い抜いたら「手札カルテル」のメンバーが入れ換わる。戦況判断についての認識が綾になるが、これならとてもシンプルな変更で、一番手にはうまみがない、でも二番手以降には追いつくための手段を提供できる。

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