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OmniSight

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今はまだ存在していないゲーム、OmniSightを巡る思考実験の泡沫


前提

・これは、論理によるゲームである。
 プレイヤーを一定の論理に基づいた構造の中に起き、プレイヤーにその論理を発見させ、あるいは論理から類推を働かせることをその基に置くものである
・世界は原則と逸脱から成る。これはこの思考実験に限らない世界の真実であるかもしれない。


基本構造

・ゲームは以下の二つのモードで構成される

選択モード
どのシーンを見るかを決定する。
観察モード
選択モードで選択されたシーンを観る。

・ここで、次のように語を定義する。

シーン
観察モードでの選択単位のこと
フェイズ
シーンの選択の結果、閲覧されるもの

 従って、前項は以下の様に言い換えられる。

ゲームは以下の二つのモードで構成される
  • 選択モード
    シーンを選択する
  • 観察モード
    選ばれたシーンに応じたフェイズを観る

・選択モードと観察モードは必ず交互に繰り返される

・選択モードでの選択に応じて、ストーリにおける状況には差異が発生する
 すなわち、世界には状態が存在する。
 この状態空間における現在位置の状態変数を、以降「フラグ」と呼ぶ

・フラグは、観察を行うことによって変化する

・選択モードにおいては、かつて観察したシーンも選択することができる

・同じシーンであっても、選択したときのフラグにより、内容は変化する

・あるシーンが選択できるかどうかは、フラグによって決定される
 (フラグに応じて、見れたり見れなかったりする)

・あるシーンから閲覧しうる各フェイズ間に、時間的・空間的な連携は必要でない
 (ただし、多くの場合は連携があるべきである)


類推構造

・プレイヤーがある閲覧(=選択)を行うことによって、新たなシーンが選択できるようになる場合がある。

・同様に、プレイヤーがある閲覧を行うことによって、ある(選択可能だった)シーンが選択できなくなる場合がある。
 *すなわち、「選択しない(別のものを選択する)」ことによっても、プレイヤーが見ることのできる世界の部分は変化しうる。

・あるシーンとあるシーンは、フラグを介して繋がっている場合がある。
 *すなわち、両者は有向グラフで結ばれた関係にあるとみなせる。


プレイヤーの能力に関する言及

・前提:世界を(時間軸T、可能世界軸S)からなる座標系とみなす

・フェイズとは、世界における一点の写像である

・プレイヤーが観察できるのは、1度に1つの地点(=フェイズ)だけである

・プレイヤーが観察できるのは、世界についての情報の、断片である

・プレイヤーは、観察を行ったフェイズの、絶対的な座標を得ることはできない
 (おおまかな位置なら、選択モード画面で知ることができる?)

・仮定:あるフェイズP1=(t1,s1)と別のあるフェイズP2=(t2,s2)が存在する

・プレイヤーがP1とP2を閲覧したとする。
 このとき、t1=t2かつs1=s2である場合を除き、t1とt2、s1とs2の関係性について、プレイヤーが確実な情報を得ることはない

・プレイヤーはP1とP2の関係性を推測することはできる。
 しかし、推測は推測でしかない。
 プレイヤーが、P1-P2間に関係性があるか否かを、絶対的に知ることは不可能である。
 (P1とP2の関係性を強く定義してしまうため、2次創作でこれを行うことは不利かもしれない)

・プレイヤーの知覚は、基本的には錯覚である

・世界が変化している、という知覚も実は錯覚である。
 あるフェイズP = (t,s)を閲覧できる選択がなくなっても、それでフェイズPが消えるわけではない。
 最悪、プレイヤーは消去後の再インストールでフラグを初期状態に戻せる。

・そもそも、プレイヤーには今自分が何を見ているかを保証する術がない。

・また、t1=t2かつs1=s2であっても、プレイヤーがそれを確実に知ることはできない。(システムがそれを明示する場合を除く)


作者の能力に関する言及

・作者の世界に関する把握もまた、錯覚である


演出に関する要望

・観察モードにおいては、プレイヤーが介入できないことを色濃く表わすために、できる限りインタラクションを奪うべきであると考える。
 すなわち、観察モードは基本的に自動で進むべきである。
  *当然、これを逸脱することによる表現も考えられる

・ゲームプレイ中にインタラクションを奪われることは、不快に繋がる事が多い。
 従って、観察モードは、極力不快にならないよう構築することが求められる。具体的には、シーンを短くする、シーンを面白くする、繰り返されることになるシーンでは重要部分だけ閲覧可能にする、など。