「小夜曲〜Serenade〜」発刊(予定)記念座談会

文責:White@筑波大(white@jks.is.tsukuba.ac.jp)

6月某日、「セレナーデ」最終稿〆切もほど近いその日、
都内某所にて、「小夜曲〜Serenade〜」発刊(予定)記念座談会が行われた。
いろいろと濃い内容で行われたこの座談会の模様を、ここに掲載する。

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参加メンバー一覧(敬称略)

"Project Serenade"の胎動

White ということで、Serenade宣伝ページ用の座談会ってことなんですが、
 最初は今回の企画の始まったわけ、ということで始めたいと思います。
かれん ええと、Whiteさんが言い出したんですよね。
White 思いついたのは――確か去年の暮れでしたっけ?
秋葉 俺とWhiteさんがチャットしてたんですよ。
 で、Whiteさんがチャットしてる向こうで書きまくってるから、
 いっそ本でも出したらどう、って俺が言ったんです。
 そしたら、EVA小説で本を出そうって話になって。
 初めはWhiteさんのだけで出せって俺は言ってたんですよ。
White でもいろいろ人集めたいねぇ、と。
秋葉 そう。それで、MLができるって話があったから、
 じゃあそのMLでやっちゃえばいいんじゃないかとなって。
 ということで、最初はチャットの冗談です(笑)
White その場のノリで話が決まって、
秋葉 俺はまとめるの嫌だから言うのはWhiteさんねぇ、って。
 MLができていきなり言い出したと。
かれん それに、みなさんが、悪ノリした、と。
nary ノリが良すぎる面子だったわけです。
ichi MLにその話が流れたのは、確か成人式の後だったよね、
かれん で、悪ノリしたあげくに、
 言い出しっぺの張本人はまだ原稿が上がってない、と
一同 (笑)
White だそうですよ、秋葉さん
秋葉 そんなぁ。
かれん でも、書けない時ってありませんか、みなさんも?
秋葉 今です。全く書けません。
かれん ときどき、ファイル開いて書こうとしてみるけど、その先が続かなくって
White 書けないときは書かないとか。
秋葉 書かないっていっても、期限があるんですよ。だから困ってるんです。
nary 書いてくださいね
秋葉 はぁい。がんばります。

ホームページでの小説発表について

かれん だから、インターネットの(*1)いいとこって、そこですよね。
 自分で更新がストップできちゃう。
 同人誌となると、他人との交渉ですから、時間決まってますもんね。
丸山 でも、投稿をもらってる身としては、他人との交渉なんですよね。
 ホームページにこう、送ってもらって乗せてくださいってのを、
 20日間ぐらいためておくと、まだ乗せないんですかって言うメールが……
 それが、厳しいですね
かれん やっぱり乗せてもらいたいって思ってる人ですからね、言いますよ、それは。
 そうそう、投稿ページって、扱い困りません?
ichi どういう?
かれん まぁ、著作権の云々が一時期問題になりましたけど。
丸山 まぁ、そうですね。
 その人がホームページ作って、そっちに乗っけてってやると、
 こないだも、
 「ここはミラーページなんですか?」っていう掲示板の書き込みを見ました。
秋葉 いやだね、それ。
丸山 でも、向こうが開設したからって、
 勝手に削除するわけにもいかないじゃないですか。
 最初の基準がしっかりしてなかったのが、私の失敗なんですが。
White そのへん、未成熟なジャンルというか、文化というか。
かれん あれですよね、元々インターネットが始まって普及し始めてEVAが始まって、
 まぁ、2年と言っちゃ悪いけど、それだけですよね
 それなのに、こんなに増えてるんですよね
ichi EVAが終わってから、丁度1年ちょっと
かれん なんか、もうねぇ、バァって増えましたもんね
一同 増えたよねぇ
? 最初は、世界があってQがあって、
かれん わたしも
丸山 後は、小説化計画(*2)と
nary あとLC(*3)と、X(*4)と。
秋葉 LCの頃には俺もいました。
丸山 6月過ぎぐらいにnaryさんが開いたんでしたっけ?
nary いや、開いたのは確か4月のうちだったはず
ichi あの年の夏が終わったあたりからドバっと増えましたよね
 僕は、いくぽんさん(*5)のところに乗せてもらったのが8月の頭で、
 自分のHPを開いたのが9月の下旬。
 そのぐらいのときに、同じようなHPが山ほど増えた。
かれん 私は……9月の上旬だったはず。
丸山 俺は更に遅れて、最初に送ったのが11月で自分で開いたのが12月ですね。
圧縮 で、確かichiさんと入れ替わるように、儂が入ってきたんだよな
ichi そうそう、丁度私と入れ替わるように、いくぽんさんのところに。
かれん 好き勝手放題に増えてるって言ったらあれですけど、
 小説の数ったらありゃしないですね。
ichi 池内さん(*6)とこで200
かれん よくもまぁそこまで書けるわ、ってのが正直な話ですね。
ichi 増えてるのは、小説だけなんですよね。
 その他のホームページは増えてない
圧縮 データ系では、一部はなんか閉鎖したようだが
かれん Data for Evangelion(*7)がストップしたじゃないですか。
 あそこが、なくなったときはショックだったなぁ。
丸山 頭打ちになったというか
nary ネタがないから、小説以外書きようがないんだろうね
White まぁ、その分こう、眠っていた何か作ろうという人を揺り起こしたという事で
かれん あれなんでしょうね、いっぱいあるけど、
 それでも自分の中のEVAが必ずひとりひとりあって、それを出してくるから
綾瀬 それこそあれなんじゃないの、Qを読んでバァっと。
一同 (笑)
かれん じゃあちょっと聴いてみていいですか。
 この中で、Qを読んでから初めて作ろうと思った人ってどのぐらいいますか?
nary いっちーさんと、
秋葉 一度も公言したことないけど、俺もそうです。
圧縮 儂は、逆に一回やめた(苦笑)
かれん 私、あんまり読んでなかったんですよ、最初は。
 最初読んだとこは林さん(*8)のとこだったんで
一同 (苦笑)
かれん 友人が持ってきたメールが、GAINAXと林さんとこだったんですよ。
秋葉 それはまた極端な組み合わせですね(笑)
ichi 俺、一番最初に遭遇したEVA関係のHPは、第3新東京市の解析
かれん あそこも凄かったですね
丸山 一番最初と言えば、
 GAINAXのリンクから飛んでった特務機関オヤジ(*9)だったんですよ
一同 (爆笑)
圧縮 儂は……検索でひっかかった、今は再起動したけど、ニフのギャラリー
秋葉 ああ、SSギャラリー(*10)
圧縮 あそこが最初だったんよ
かれん でもみなさんあれですか、だいたい親元Qでしょ、小説始めるって
ichi 大多数はそうみたいだねぇ。
かれん じゃなきゃ、自分から始めてるかで。
White 私も……載せるきっかけはQでしたね
丸山 Qにしろ、かくしエヴァ(*11)にしろ、
 ヒット数が何十万というのを見て、始めた人は多いでしょうね。
ichi 統計的にもそうなるでしょ。
 ただ、ヒット数が多いというのはおもしろいからなんだけど。
かれん でも、無料の力っていうのは、強いですよね。
 同人誌書いてても、そういうアンダーグラウンドなところででも、
 エヴァってそんなに流行ってませんし、
 あんなに小説というか、ものを出そうなんて考えは起きませんね。
丸山 でしょうね
かれん HPならバンバン開けますもん
 200円で5Mとか、そんなんで。
 5Mで、小説って言ったらかなりいきますよね
綾瀬 文章のいいとこだよね、それが。容量喰わないってのが
かれん だから、ものを作る人を育てるための、経済的負担は少ないですね。
nary 敷居がめちゃくちゃ低い。
秋葉 文章なんて、エディタがあれば書けるし。
nary エヴァって言うだけで、一定数が読んでくれますからね
 ……感想が来るってのはまた別なんですけど。(苦笑)
圧縮 まぁ、なんての、始めたはいいけど、ってのもパターンとして、
 自分自身が続けられなくなってるってのもあるんだよな
ichi 立ち消えになったページは多いですよね
 池内さんとこも200あるけど、
 そのうちちゃんと続いてるのはいくつだ、っていう。
丸山 リンクを張ったけどいつのまにか消滅してるってのもありますね
かれん いっぱいありますよね、消滅系
圧縮 あの、日本語かけりゃ文章書けるって思ってるんだろうな
かれん あ、そう、それ、誰かも言ってましたよ
 中学校出てりゃ文章書けるんだよって
 日本語習ったしねって


*1:インターネット
ここでの「インターネット」は語として正しくない。 正しくは「WWW」というべきである。

*2:小説化計画
正式名称:エヴァンゲリオン小説化計画
久保田 考氏の手による、 「エヴァンゲリオンの本編を小説化する」というコンセプトで、 本編6話までを見事なまでに小説化したページ。

*3:LC
正式名称:エヴァLC
綾羅氏による、「正当派ラブコメエヴァ」なページ。

*4:
正式名称:希望新世紀エヴァンゲリオンX
末広シンジ氏による、やはり正当派ラブコメエヴァなページ。 しかし、現在凍結されているようである。

*5:いくぽんさん
いくぽん'sHP主催。
ちなみに、いくぽん'sHPには、圧縮氏の投稿小説のコーナーも存在している。

*6:池内さん
「エヴァンゲリオンな小説へのリンク」主催。

*7:Data Pages for Evangelion
シンプルな外見ながら、データの量・質を誇った、エヴァ関連データサイト。 残念ながら現在は閉鎖されてしまった。

*8:林さん
「Evangelion Another World」で、23話からのストーリーの再構成を行っている。 名古屋在住。 エヴァ小説MLメンバーの一部をSF道に引きずり込もうとしているという噂もある。

*9:特務機関オヤジ
「オヤジ系ページ」の代表格の一つとも言える、K.F氏によるページ。

*10:SSギャラリー
NiftyServeにて発表されたエヴァSSを、インターネット上に転載しているページ。

*11:かくしエヴァ
「高速魔人」高嶋氏による、「一番更新の速い」エヴァ小説ページ。



執筆者の文章歴

圧縮 まぁ、バイト的とはいえ、
 それで金ももらったこともある立場から言わしてもらうと、
 日本語書けりゃ文章書けるってのはおかしいよ。
かれん じゃあ、ちょっと訊きたいんですけど、
 みなさん文章書き出してからどれくらいになります?
秋葉 俺は、エヴァ小説が――ホームページに載せたやつが最初です。
ichi 同じく。
かれん naryさんは?
nary 人に読ませるものを書いたのは、初めてですね。
White ということは、その前にも書いていた、と?
nary うーん、書き溜めたものは結構ありますけど、
 私は自慢じゃないけど最終回まで書いたことがないです
秋葉 それは確かに自慢じゃない(笑)
丸山 俺は、何かに送ろうとか人に見せようと思って書いてからは……4年目かな?
綾瀬 俺なんか、これが最初(笑)
White そう、綾瀬さんは今回の本の原稿が処女作(笑)
綾瀬 ホームページでは小説なんて書いてないです。
nary でも、その割にはよくできてるとおもいますよ。
綾瀬 ええと、
 ホームページ自体は、一昨年の12月からやってるから、
 開設したのは早かったんです。
 ま、基本的にCGでやっていこうと思ってたんですよね。
 けどCGって更新遅いんですよ。
 そうするとやっぱり文章のほうがいいなと。
 でも、小説書いてる時間はなかったから、
 だから講義の時間に書けるセリフ集をやってると。
かれん Whiteさんは?
White ええと、最初に人に読ませるのを書いたのは……中学生の頃だから、
 もうかれこれ6年ぐらいになりますか
秋葉 この中で一番長いくらいじゃないんですか?
かれん ん……6年
 あ、じゃああたしの方が長い
 だって、10年だもん
一同 おお、凄い。
かれん 10年って言っても、少女小説読んで感化されて少女小説書いて、
 そのままずるずる書いてるだけですから。
 程度的に言ったらみなさんの方が書いてるかも。
nary でも、やっぱり10年ってのは凄いですよ
圧縮 儂は、確か高校入ってすぐだから、もうかれこれ5年になるか
秋葉 まぁ、物を書くプロですから、やっぱ長いですよね(笑)
圧縮 でも、まぁ、小説形式は、実はエヴァのが初めてで。
 小学校の頃にパソコン初めてから、ずっとゲームで組んでるから。
 まぁ、ゲームのシナリオ、っていうかそのようなものを書いてて。

批評の場について

White えっと堅い話に成っちゃうんですけど、
 小説って、文章と構成、だいたいその2つに分けられると思うんですよね。
 で、そのうちの構成はできてるんでしょう、やりたいことはわかるんだけど
 文章がわかんなくてってのがやっぱりあるんですよ。
 でも、今のインターネットエヴァ小説って、
 指摘してあげられる環境、
 お互いにお互いを育てる環境ってのが少ないんですよね
秋葉 まぁ、そうですね。
White で、せっかく始めても、何もよくなんないで、
 それで尻切れトンボで終わっちゃうとかが、ある。
 でも、それじゃあ文化として、折角ここまで大きくなったんだから、
 惜しいなぁ、と思うんですよね。
かれん 一時期、naryさんの会議室がそういうふうになってたじゃないですか
 ああいうところがあると、また育つんでしょうけどねぇ。
 でも、どうなんですか会議室?
 最近遊びにいけないんですけど。
nary あそこは今、寂れてます。
 私のところの会議室は、あんまりヒット数がないんですよ。
 やっと今3万越えたぐらいですから。
かれん でも、ああいうところを使って、お互いのをって。
 ……というか、小説読んでる暇がないんでしょうかね、みなさん。
秋葉 書いてる人間じゃないと指摘できないから。
かれん 書いてる人が、読まないと、ちゃんとした指摘はできないですからね。
 でも、指摘したところで、
 感情論みたいな、いわゆる自分の感覚に合わないよ、っていうのだと、
 また、違っちゃうんですけど
秋葉 それは、作者の方が選別すればいいのであって、
 指摘する人間がいるかどうかがまず問題になるのでは?
かれん とりあえず指摘ですか
秋葉 そう。
 とりあえず指摘がきて、これは感情論だなと思ったら、
 作者の方はそれを捨てればいいし、
 受け取るべきものだったらそれは真摯に受け入れればいい
かれん 初めに、量ありきってことですね。
秋葉 だから、そういう場があれば、全然違うと思うんですよね
かれん 言える環境があればいいんですよね。
 ……言ってくれる人はいると思うんですよ。
 でも、メールじゃなくすれば、もっと言いやすいかなと。
 無責任なことを言っても、その場でおしまいってできるようにすれば。
ichi 例えばね、インターネット上にはそういう環境ってないんですけど、
 僕がもともといたニフティのフォーラムでは、
 まずだいたい作品を上げれば、それに対する感想なり、指摘なりのレスが
 まぁ、普通は4〜5本、多くなると十数本、付くんですよ
 でも、ほとんどが、あまり技術的な問題には
 立ち入らないで、非常にあたりさわりのない内容ばかりですけれど。
 だから、たとえオープンな環境ができたとしても、
 果たしてその作者の向上につながるかどうかというのは、非常に難しいと
圧縮 以前ちょっとQについての批評を書いたけど、
 ああいうふうに、向上するように、でも喧嘩にならぬように書くのって、
 非常に技術がいるんだわ
nary 人間関係ってのがありますからね。
 ネットってのは、仲良さそうでも、直接会ってないじゃないですか。
 メールだけでやりとりすると、変なふうに取られることもあるし。
 例えば、リンクしてくださいってメールが来て、
 そのコメントって、あたりさわりのないことしか書けないですよね。
ichi とりあえず褒めるしかないっていうか
かれん 如実に表してるのは伊藤さん(*12)のところ。
 あれって、最高点か0点かだけで、
 これは足りないこれは悪いって意味の、2とか3とかがないんですよね。
 言っちゃなんですけど、ちょっと違うだろうと。
 自分の読みたいものと合っているかどうかの指針にしかならないんですよね。
圧縮 それは、リンク集だから、そもそも読者のためにあるんだよな
 読者の指針になればいいんであって、そういう位置づけだから、
 それは仕方ないだろう
ichi それに、インターネットの不文律として他人のコンテンツには、
 批判をしない、というのが暗黙の了解があって(*13)
一同 ああ。
ichi ただ、それが客観的な批評であるか、主観的な批判であるかという
 線引きが非常に難しいがゆえに、存在しないんですよ、
 そういうものがほとんど。
かれん 誰かが、そういう伝言板ページを作ると違うんですけどね。(*14)
 主観も批判も何でもいいから書いてもOKっていう。
秋葉 悪口でもいいから、書いてくれるページがあれば、違いますよね
かれん で、書いて、そこを責めない
 そういうページができれば、、バッと書かれるんじゃないかな
ichi GAINAXの、映画の感想の掲示板みたいなものがあれば、ってことですね。
かれん そういうことですね。
 でも、そういうページができたとして、
 じゃあ、誰がのっけるっていうのって話もありますけど。
ichi それは、敢えて批判を受けたいという人達が
 自分のページからリンクしていけばいいわけだし、
かれん 受けたいっていうか……自分のページに対して、「面白かったですね」
 っていう最初のメールはそれでもいいんですよ。
 でも、そればっかり来るじゃないですか。
ichi 気に入らなかった人はね、多分感想書かないんですよ
かれん 気に入らないっていうか、
 不満を持っている人の意見が聞きたいな、って思うときが。
nary それが、感情論にならないのは難しいかなと。
 気に入らなかった人って、頭に来た人じゃないですか。
 それが、バカやろうとか、フザけるな、とかで。
 私のところでも、
 ここがこうだからこうなんだっていうふうに来るとしても、
 キャラクターの描き方ぐらいで、
 「俺のレイはそうじゃない」なんて、そんなのばっかりですね。
かれん ああ。
nary そんなのは、沢山来ましたね。


*12:伊藤さん
「ラブコメ」「シリアス」「ジョーク」の3つの指数で各小説を評価した リンクページの主催者。

*13:他人のコンテンツには、批判をしない、というのが暗黙の了解
fj.news.usageを見れば、そんなの大嘘である。

*14:誰かが、そういう伝言板ページを作ると違うんですけどね。
この座談会の後、nary氏が、「そういう伝言板ページ」を開設された。 現在、予想以上の盛況を見せているようである。

表現?

White そうそう、最近私のページに検閲入りまして。
一同 (笑)
White 検閲というのは極端な言い方なんですけど、ちょっと指摘がね。
 実は――確信犯的なところもあったんですが、放送禁止用語を使ってまして。
かれん なんて放送禁止用語なんですか?
White 一応……オフレコという前提で……◯◯と、××、でしたっけ。
かれん それってダメなんですか?
White ダメ。
ichi ダメ。
圧縮 ダメ。
ichi 気をつけましょうね、書くときは(苦笑)
かれん はぁい。
 私その程度でヤバいんだったら、なんかバシバシ使っちゃいそう
丸山 ある程度言葉を選んでは書いてはいるんだけど。
ichi そう考えると、インターネットの恐ろしい所は、誰でも読めることですね。
 基本的にオープンだから。
かれん あ、私もいっとき、ヤバいのをHPに載せたことがあるんですよ。
 そしたら、兄とその友人が読ませてくれって来たんですね。
 そのときに、「これは危ない」って思って、消したんです。
 そういう、誰が読んでるか分かんないっていうか、
 小さい子でも読める、身内でも読める、それは嫌だって思いますね。
ichi 身内はいいと思うんだけどね。
 身内に見せらんないもんは公表すべきでないんじゃないかな?(苦笑)
かれん 身内に見せらんないようなところはあらかじめ削ったんですけど、
 それでも「面白そうだ」って来たのは嫌だったですね。
 でも……お子様に見せるものだと思って書くと、
 乱暴な言葉とかは書けなくなっちゃうし。
ichi そういうのは、インターネットでやるべきじゃないんじゃないかな?
かれん そこまでいっちゃいますかぁ?
ichi 僕はそう思うよ。
White でも、逆にコンテンツを見る側が選べるっていうのは、
 ネットの利点ですから逆にどんどんやるべきかもしれないですよね。
丸山 ……僕が投稿を受け付けてるのは、そういう意味で、
 ホントに雑居というか、
 ラブコメもあるし、スプラッタもあるし、18禁もあるし、みたいな
かれん そういう、雑居した状態っていうのはいいですね。
 完全に、読む側のチョイスである。
丸山 1個のページから、どこにでもリンクが張ってあって、
 それは、あなた方が選んで読んで下さい、と。
ichi でも、今はどこもお縄になるような内容はのっけてないでしょ?
 おそらく、現状では画像以外は(取り締まるのは)無理だろうし。
綾瀬 調べるのが無理でしょう。
かれん ああ、読む暇ないか。
綾瀬 読んでる暇ないでしょう。
かれん 日々増えてますもんねぇ。

原稿の話

White じゃあ、話を戻して、と。
ichi ええと、それじゃ……編集者から見た、原稿の内容とか
White 「なんでもあり」でしょう。
ichi 「なんでもあり」ですか(笑)
White 「なんでもあり」がウリですから。
かれん じゃあ、執筆者のレベルを、Whiteさんの主観から見たらどうなのか、とか。
White あのねぇ、そういうのって基準をどこにおくかによるんですよね。
 私が本気で言い始めると、多分どれもぜんぜんダメでしょうから。
丸山 ……その話をするんだったら録音のスイッチを切ってからの方が(苦笑)
White 「筒井康隆先生と比べてどうのこうの」とか言い始めるから(苦笑)
かれん でも、やるんだったらそこまでやるべきですよね。
 それを目指してるんだったら。
White ええ、私の視点がそういう所を目指してるんで、
 そういうふうにいうことも出来るんですけど、
かれん でも、例えば筒井康隆を目指してない人はどうすればいいんでしょ。
White まぁ、今回の本についてはベクトルがそれぞれ違うんで、
 一概には言えないんですけど……
 出来上がった原稿は、それぞれの方向性において、
 まぁアマチュアとしては十分な出来を持っているだろう、と。
かれん 元々、うまい人が集まっているって言ったら変ですけど、
 書くことに、自信を持っているっていうか……
秋葉 私、自信ないですよ
White ああ、私も小説なんか書いてませんから(苦笑)
かれん その発言はちょっとパンチ、って感じですね。
 そういうふうに言ってもそのセリフが白々しく聞こえるような、
 そういう人が集まってますよね。
White いや、私のはですね、最近友人と話した結果、私の書いているものは
 小説ではなくて散文詩なのではないか、という疑惑が立ちまして(笑)
かれん ああ。
 っていうか、ちょっと純文学入ってますよね。
秋葉 うんうん、Whiteさんのって、そういうのある。
 最近特にだけど、「〜ならぬ」とか、言い回しが古文調で。
丸山 そういう書き方は、僕は好きですよ。
かれん それはいいとして、そんなふうに、
 散文詩はあり、ラブコメあり、ファンタジーあり、
 SFの近未来系いっちゃってるのもあり。
丸山 それこそ雑居してるじゃないですか。
ichi いろいろあって面白いことは間違いないですよね。
かれん そう思うと、やっぱりチョイスですよね。
 誰かの所は読まなくても構わないじゃないですか。
 それで、読んでないとこは後で暇になったら読んでみればいいし。
 そういう本にはなったんじゃないですか?
White いい意味で、今のインターネットエヴァ小説の縮図ではないかな、と。
一同 ああ。
丸山 それで興味を持ってHPを見に来てくれれば、っていいかな、と
かれん でも、そしたら戸惑うでしょうね、あんなにいっぱいあって。
ichi でも、コミケに来てエヴァのブースに来る人達って、
 やっぱり漫画とか、ビジュアル系を探しに来る人多いと思うんだけど。
White いや、エヴァだとそうでもないと思いますよ。
かれん ええと、小説は読まれるんですよ。
 女の子だったら少女小説とかかもしれませんけど。
 ただ、インターネットに接続する機会がないんですよね。
 自分が元がそうだったんで、分かるんですけど、
 ネットに行けばあるかもしれない、って頭ではわかるんですけど、
 でも、アクセスする方法がないんですよね。
ichi そう考えると、今までインターネットに何かあるかもしれない、
 って思ってる人達が、どんなものかな、と思って読んでみるには
 非常にいいものですかね。
秋葉 試供品というか導入と言うか
White お試し版ですか
ichi そう、お試し版(笑)
かれん それで、興味を持って、インターネットカフェでも行って、
 それでエヴァのページを開いてくれたら嬉しいですね。
ichi それでまたエヴァの小説サイトが増えたりして(笑)
一同 (笑)
かれん でも、増えると思いますよ。
 書きたいと思っている人がいても――例えば中学生とかいるんですけど、
 私がそうだったんで、お金がないんですよね。
 まぁ、「見たいけどないから自分で書く」ってのがあって、
 だから小説って……でもなぁ、スキャナとか手にいれたら、
 絵をスキャニングして、上げそうですね。
秋葉 どんどんディープになっていくと(笑)
ichi ま、裾野は広がらないとね。
White でも、今裾野って言ってもどのぐらい広がってるんでしょうね。

裾野?

White 裾野、あるんですけど、裾野しかないってのも事実なんですよね(苦笑)
ichi それを言うでない
秋葉 なんていうか、逆T字型みたいな裾野。
White 思うにですね、書き手は生まれてるんですよ。
 でも、育ってない。
 読み手も同様。作るけど、育たない。
かれん やっぱりお互いがお互いを支えるものだから。
ichi どこの世界だってそうさ。
秋葉 でも、伝言板みたいなの、欲しいですね。
ichi 戻ったか、そこに。
かれん なんか、そういうところにまともに書いてくれる読者がいると、
 書き手が育ちますよね。
 naryさんところは、よかったんですけど……
nary あそこはねぇ。
 ただ、感想はメールで、ってのがあるから。
ichi クローズな環境の方が、言いたいことが言えるっていうのが。
 人目に触れる所だと、そこでバイアスかかっちゃうから。
丸山 議論したくない人もいるし。
White 「俺は楽しく文章が読めればそれでいいんだ」って、
 そういう人にまで同じことを求めるのは間違ってるでしょうしね。
 それに、書き手の態度の方も重要だし。
秋葉 批判できる人が読者をやっているかっていう気もしますけどね。
ichi でも、批評メール専門でやってますって人もいるけど。
かれん 私のところは、ほとんどメール来ません。
 来るとしても、「読んでやったぞ」のボタン押したやつだけ。
秋葉 俺なんかあれですよ、
 「しばらく更新止まってますけどどうしたんですか」だけですよ。

誰が為にエヴァを書く

圧縮 なんか最近大学生のメールが多いんだけれど。
ichi 更新してないのにメールがポツポツと届くんですよね。
nary たぶん、4月に入学した大学生が、最近になって読みだしたんでしょう。
秋葉 あと、最近になってエヴァ小説が雑誌で取り上げられるようになったのも。
秋葉 ここ、2・3ヶ月急に増えましたよね。
かれん そういえば、私、Yahoo Japan(*15)に登録してないや。
 やろうと思ってたのに。
White エヴァンゲリオンのページじゃなくて、
 エヴァ小説のページってのが、一つのカテゴリになっちゃってますよね
かれん え、そうなんですか?
ichi うん、なってるなってる。明らかになってる
 それ専用のディレクトリサービスがあるって事はそうだよ。
秋葉 最近疑問なのは、後から出た人は何を目的に書いているのか
 ここのみんなは、「自分で書きたいものがあった」よりも、
 「自分で読みたいものがなかった」でしょう?
White 私は、違いましたけどね(苦笑)
秋葉 まぁ、違う人もいるでしょうけど。
 けど、あとから来た人ってのは、何を求めて書いているのか、
 よくわからないんですよ。
ichi それは……それなりに理由があって書いてるんでしょう。
圧縮 最近は傾向的にね、本編補完物ってほとんどないのよ。
 これがなにを意味しているかって、
 キャラクターの下地があらかじめあって、自分で動かしてやれば、
 物語を作った気分になれると。
かれん ああ。
ichi なにか、エヴァでなくても、他の何かを思ってた人達が、
 エヴァの設定を借りてきて書けば、読んでもらえると。
圧縮 まぁ、話を作る上で何を最初に苦労するってキャラクターだから。
秋葉 キャラを立てるのが大変なんですよね。
 でも、そこはあらかじめできてるから、設定を混ぜてやれば、
 お気軽に話が出来る、ってのが魅力なんじゃないかと。
かれん 要は、お手軽創作気分ってやつですね
綾瀬 とりあえず、オリキャラの多いQに、
 キャラクターの作り方などを聞いてみると言うのは。
ichi でも、オリキャラの多さでは、かれんさんの方が上だよ(笑)
かれん 私の場合、オリキャラがいないと話が動いてくれないっていうか。
ichi オリキャラが中心に話が回ってるもの。
かれん あの……シンジを動かそうとしたときに、
 ああ、これは違う、こっちも違う……
 って、結局オリキャラを出さないと動かないので。
White いや、シンジ君なんて動かないキャラなんですから。
一同 (笑)
かれん でも……おもうんですけど、
 私の話があっちこっちに飛んだりオリキャラ多いのもあるんですけど、
 「これってエヴァじゃないよね」って思うんですよ。
 エヴァ読みに来てる人達に、
 どこでエヴァらしさを感じさせてるんだろうって言うか
ichi でも、エヴァじゃないページの方が、ヒット数多いですよ。
 Qにしたって、下地になってるのは数分のシーンだし
 あとは、まさちん(*16)さんところはキャラクタ借りてるだけだし。
 だから、そういう意味では、「本編に即しているかどうか」は、
 読み手を引き付けるには影響していないと。(*17)
White エヴァ「の」小説書いてるサイトなんて、ごく一部だと思いますよ。
 エヴァ「で」小説書いてるんであって。
nary 林さんのところとか?
White いや、あれはどっちかと言うと「エヴァ『の』」ですね。
かれん 林さん言ってらっしゃいますよね、
 自分の小説が読まれてるんじゃない、エヴァを読みたくて来ている人である。
 だから、僕のページを見に来る人は、僕のファンではない、と。


*15:Yahoo Japan
説明する必要は薄いと思うが、 日本で最も知られているであろうディレクトリサービスサイト。

*16:まさちんさん
「ここは、第3新東京荘」主催者。 もはや「エヴァ」とは名ばかりのオリジナルストーリーを展開。

*17:「本編に即しているかどうか」は、読み手を引き付けるには影響していない
これについては、前述したnary氏主催の掲示板における、 林氏の書き込みが対論となっている……のだが埋もれているので探すのは大変。

エヴァ「で」小説、エヴァ「の」小説

かれん でも、私はnaryさんのところを見に来る人は、
 完全にnaryさんのファンだと思うんですよ。
一同 (うなずく)
nary いやぁ、引きずり込みましたから。
White あれはエヴァンゲリオンじゃなくて、GenesisQですから(笑)
かれん ですね(笑)
nary よく言われるんですよ。自分でもそうかなとは思いますけど。
かれん どうなんでしょうね、池内さんところのランキング(*18)で、
 あの中でもう一つカテゴリを分けるべきだったかもしれないと。
 「エヴァの小説」と、「エヴァで小説」とで。
ichi でもね、読み手は意識してないよ。
かれん でしょうね。
White ここにいる人って、主体的に書いてるじゃないですか。
ichi 読むときも、書くことを前提に読むって言う。
White そう。
 だから、そういう見方もできるんですけど、
 そうでない人は、ただ情報が転がってるのをつまみぐいしてるだけで。
秋葉 そういう意識は薄いでしょうね。
かれん 自分の自己満足のために読んでますからね。
ichi それを言えば、書いてる方もそうなんだけど。
かれん うーん。
White 厳しい事をいうと「小説になってない」レベルのがあるのも事実なんですが。
かれん それ言ったら、どうなるんですか?
 Whiteさんの基準だったら、8割方か9割方がいなくなっちゃうんじゃ?
秋葉 9割残りますかね。
丸山 いや、9割何分何厘までいなくなるかも。
ichi 99%ぐらいダメとか。
かれん いや、99.9999999%ぐらいとか。(*19)
秋葉 ベスト20の中で、いくつ残るかって話ですよね。
White ベスト20は、わりといいもの多いと思いますけどねぇ。
 流石にいいものは、みんないいと思うものでしょうから。
かれん どうなんでしょう?
 20の中でも、怪しい物はありますから。
 いや、私とかも怪しいし
秋葉 まぁ、その話はおいといて。
White これは別企画の方でやるって事で。
丸山 ああ、裏の方。(*20)
かれん 裏? なにそれ、聞いてませんよ。


*18:池内さんとこのランキング
池内氏の「エヴァンゲリオンな小説へのリンク」にて行われた、 エヴァ小説人気投票のランキングのこと。 ここでは、今年4〜5月にかけて行われた第2回の投票のことを指している。

*19:8割、9割、99%、99.9999999%
「貴様ら、えーかげんにせんか」というのはWhiteの内心であった。

*20:裏の方
「裏セレナーデ」計画のこと。 アンダーグラウンドでアレでヤバげな本を作ろうと言う企画。 当然コピー本、当然当日製本、が予定されている。 しかも、立ち消えになる可能性が高い。
危機を感じた編集人の勝手な方針により、 原稿は誰からのものでも受け付けることにした。 ということで、原稿求ム。送り先はwhite@niu.ne.jpで。

「書きたいシーン」と感想の質

かれん みなさん、「この台詞が書きたいから書いてる」ってこと、ありません?
 あとは、このシーンが書きたいから、とか。
ichi ああ。
秋葉 ありますね。
丸山 あるけど、まだたどり着いてません(苦笑)
ichi でも、だいたいみんなラスト書きたいんじゃないかなぁ。
圧縮 自分の書きたいシーンと、ラストシーンまでを決めて、
 それだけのために書く。
 でも、最終的な物語のラストシーンと、話のラストシーンは別だから。
 最終的な物語のラストをモロに書いたことはない。
ichi なるほど、偉いですなぁ。
nary 書きたいシーンはあるんだけれど、書くと話が終わっちゃうんだよなぁ。
ichi そういうラストシーンって、何らかのメッセージがあるものでしょ?
 それのために、書きたいですよね。
 読んでみて、じゃあこの話はなんだったの?ってのはいやですから。
秋葉 そういうのを、分かってもらえたとすれば嬉しいですよね。
ichi でも、全員が分かるように書けないのも事実だけど。
丸山 分かる人にはわかる。
かれん でも、「読んでくれてる」人とそうでない人って、はっきり分かれますよね。
 「流し読みしてるなぁ」って分かる人もいますし。
 だって、指摘が違うとこいってるんだもん。
ichi まぁ、それは仕方ないでしょう。あきらめないと。
圧縮 でも、真面目な話、インターネットからと、草の根(*21)からとでは、
 来る感想の質が全然違うね。
 草の根の方がツッコみが激しいと言うか、
 インターネットからはそういうのは全然こない。
White インターネットって、形式として、
 『作者』と『読者』に分かれてるじゃないですか。
 BBSだと、『作者』と『読者』は個人的な知合いで、
 そのへんの違いだと思いすけどね。
 ホームページを作るのは簡単だけど、出来た後、読み手との距離が大きい。
nary そう……ですね。
 感想をくれる人との間に、距離は確かに感じます。
 よく私は「nary先生」と呼ばれますし。
一同 (笑)
White 雲の上の人ですからね(笑)
nary 笑い話になるんですけど、
 リンクページとかで、Qへのリンクって、
 「コメント付けるのもおこがましい」とか書いてあるじゃないですか。
 それを、全く知らない人が見て、Qに来てみて、
 で、「何のページなんですか?」っていう質問メールが来たっていう(笑)
圧縮 とあるチャットでそういう話が出たんだけどね、
 外から見ると気持ち悪いって言うんだよ。
 誰が言われたかは伏せるけど、
 インターネットのエヴァ小説のリンクって、やたら褒めてるでしょう。
 その褒めすぎなところが気持ち悪いって、そういわれたらしいんだよ。
秋葉 まぁ、そうですね。
圧縮 そういう意味で、特殊な業界っていうか……
かれん 特殊な状況下にあるのは確かですね。増え方も、異常ですし。
圧縮 それこそミもフタもない言い方をすれば、たかがパロ小説ですよ。
かれん それも、SFとかアニメとかロボットとか、
 そういう単語が並んでいるもののパロディ
秋葉 そんなところで「雲の上の人」だとか、怖いでしょうねぇ。
 こいつら勝手に燃えてるよ、みたいな。
White 「ただの人」ではないなと思われる。
一同 (笑)
White でも、こうして見てるとただの人なんですよね。
一同 うんうん。
ichi 確かにそうかも知れないけど、
 他の世界でもそういうのはありますよ。
 「小室哲哉が雲の上の人だ」というのと本質的には変わらない気もするし。
 人に迷惑をかけない限りは別にいいと思いますよ。
圧縮 それでも、決して一般的な物ではない、
 ってのは認識しておい方がいいけどな。(笑)
ichi まぁ、確かに。
 でも、変人扱いされるのは心外だな。


*21:草の根
「草の根BBS」などと呼ばれる、 わりあい小規模なパソコン通信のホストのこと。 参加人数があまり多くない上、面子も大体固定するので、 インターネット上よりもアットホームな雰囲気が強くなるようである。

「セレナーデ」その実態1:GenesisQ外伝とプレミアムの可能性

White ええと、それじゃそろそろ肝心の本の内容について行きましょうか。
 ここにですね、先日エヴァ小説MLに流れた、
 ssuzukiさん(*22)のメールをプリントアウトしたものがありまして。
 で、これをネタに各人の小説について、ということで行きましょう。
 では、最初はQからということで……
  Qを読んでないとわからないっていう事があるものの、
   よいと思います
 だそうで。
 他は何行か書いてあるんですけど、
 ここは1行で終わっちゃってます(笑)
 やっぱり、エヴァではなくQだと、そういうことですね(笑)
かれん Qはキャラの名前さえ変えれば、オリジナルって言い張れますから。
ichi 元ネタがエヴァってだけで、中身はオリジナル。
nary ええよ、今回の話には、出て来るキャラが4人いて、
 そのうちの2人は私が作ったキャラなんですよ。
ichi しかも、エヴァのキャラの2人のうちの1人は、
 本編ではほとんど出番がなかったから。
一同 (笑)
White あとですね、一説ではネタばらしの嵐だとか。
ichi でも、あれだけ読んだのではどこがネタばらしなのかよくわからない。
nary ホントは、あれ、(HPの)本編用に考えてたネタなんですよね。
 『ネルフ、誕生』みたいにして。
 まぁ、「出会いのシーン」ということで、
 レアものっぽいものをと思いまして。
秋葉 ファンサービス的な。
nary いや、良くメールをくれる人何人かに読んでもらったんですけど、
 「これはネットに流すべきだ」といわれました。
ichi ま、気持ちは分からないではないですね。
White ええと、話それますけど、
 友人から聞いた話なんですけど、
 『吸血鬼ハンターD』ですか、あれのですね。
nary ああ、Dの
White あれのですね、エピローグ的な話が同人誌で流れている、
 という話がありまして。
ichi ひょっとすると、今回の本も非常にレア物となる可能性が、と(笑)
かれん まぁ、そういうプレミアムがつくだけのものを書いて来た人だから、
 そういうことになるんですよね。
秋葉 人気の裏付けですかね。
かれん 人気=実力って言うか
nary こっちを読んで、本編読んだら、
 それはそれでつらいんじゃないかと思いますけどね。
 時代設定やらなにやら全然違いますから。
White テイストは残ってると思いますけど。
丸山 それでも、本編を知らないと分からないって問題はありますけど。
秋葉 まぁ、それはでもいいんじゃないんですか。
*22:ssuzukiさん
「リィ、ナ、クルイネ」「碇君の家庭の事情」の作者。 名古屋在住。林氏あたりとよくツルんでいるらしい。 最近、"Backlit by the Moon"というオリジナル作品を掲載し始めた。


「セレナーデ」その実態2:こめでぃなお話について

White では、次、いっちーさんのですけど……
 『どうして秘密にしなきゃいけないの?ってのは言わないお約束ですか?(^^;
  それは置いておくとして、シンジになったレイの口調がどうも敵意or悪意
  が少し入ってるような気が。
  もすこし無関心な言い方の方がしっくりくるかも』
ichi ええと、まず反論させていただくとですね、
 秘密にする理由は、一応作品の中で説明したつもりではあったのですが、
 伝わっていないとすれば、私の文章力のなさのいたすところだと思います。
 で、レイについて、一応自分では「無関心」を念頭に置いて書いたのですが。
 そこが悪意にとれるところがあったとすれば、当然直すべきでしょう。
 まあ、今回の話は基本のアイデアがあって、
 それに、こういうとなんですけど妄想を膨らませてだけの話なので。
かれん でも、基本のアイデアはよく書けてますよね。
 あと、いっちーさんのテイストがちゃんと出ているし。
 本編のエヴァって、残酷じゃないですか。
 例えばトウジが電話を切っちゃうとか、
 そういうふうに、救いってのがあんまりなくて。
 でも、いっちーさんのだと、ちょっと救いが入るんですよね。
 エヴァ本編の残酷さもちゃんと残しつつ、ですけど。
 そういう味は良く出てると思うんですよ。
ichi 実は今回の話ですけどね、
 元々は嫁さんの一言がきっかけで書いたんですよ(苦笑)
 「原稿が間に合わないよう」とか、家の中でぐちぐちやってたら、
 嫁さんがあれはどうだこれはどうだって、いろいろとネタを提供してくれて。
 そのうちのひとつが、ヒットしたと。
かれん すばらしい方ですね。
秋葉 うらやましい環境ですな。
ichi その、嫁さんが言ったアイデアを、
 「うる星やつら」の似たようなエピソードを元にして、
 そういう感じで書いてみようかな、ということで書いたんですよね。
かれん ML上で、「ネタを変更します、これから書きます」とか言ってたから、
 「えぇ〜、大丈夫かな」とか思ってたんですけど、すぐにできましたよね。
ichi いや、いったんきっかけがつかめれば早いんですけど、
 それまでがとんでもなく時間がかかるんですよ。
White 確かに、書くぞとなると一気に進むというのはありますね。
ichi まあ、今回の話は、
 SFコメディのお約束を楽しみたい人にはお勧めではないかと。


White では、次、丸山さんのとまひとさんのについてなんですが。
 『ごめんなさい。ラブコメはどうも苦手で……
  読んでて恥ずかしくって、背中がムズムズしてくるんです。
  でも、ひっくり返せば恥ずかしくなるぐらいものは書けてるってことで、
  これでいいんじゃないか、ということなんですけどね』
 だそうです。
 で、それから、丸山さんとまひとさんの、個別に書いてますね。
 丸山さんの方が、
 『シンジとレイの会話で、レイのセリフの「……」が多用されてるのは、
  個人的趣味から見ると、あまり美しくないです』
 とあるんですけど……
丸山 それについては、一部修正は入れてますけど、
 半分ぐらいは残します。多すぎるとは思ったんで、減らしはしますけど、
 状況の都合とかもあるので、ある程度は。
かれん まぁ、シンジとレイの会話で、「……」が入らないって難しいような。
ichi 「……」を入れなくてもやりようはありますけどね。
秋葉 仕草を書き込むとか、方法はいろいろありますけど。
丸山 いちいち仕草を書くと、ちょっとくどくなるので、
 それよりは残した方が、と思いまして、全部は削ってませんね。
White あとは、会話してるのが電話の上ってのもありますかね。
丸山 じゃあこの辺で座談会用でって事で、今回の話のネタなんですけど、
 今回の題名は、徳永英明の曲から拝借いたしまして。
 徳永さんの曲は、よくネタにするんで、今回もそこからと。
一同 なるほど


White と、次はまひとさん(*23)の作品についてですけど、
 『レイが饒舌すぎる気がしますが、
  基本的にこのぐらいの恥ずかしさでいいと思います。
  あまり詰め込み過ぎないほうがいいでしょうし』
 だそうです。
 ええと、これはですね、一度初稿がわたしのところに来まして、
 で、ちょっと指摘を入れたらですね、
 戻ってきたのはもう比べものにならないぐらい良くなってる。
一同 ほう。
White 期待以上のものが返ってきまして、編集者冥利に尽きております。
*23:まひとさん
「THE DARK SIDE OF THE MOON」にて、 「きまぐれ★エヴァロード」と「THE DARK SIDE OF THE MOON」を掲載。 他にも機動戦艦ナデシコの小説や投稿小説も掲載している。
かれん ええと、私、綾瀬さんの原稿に、すごく期待してたんですけど。
 元ネタがすごく好きだったから。
White ええと、じゃあ綾瀬さんのについてのssuzukiさんのコメントは……
 『途中はいいと思うのですが、すいません、よくオチがわかりません』
 だそうです。
ichi すいません、私もよく分かりません。
かれん 元を見てれば分かるんですけどね
綾瀬 実は最後のネタは、別のバージョンが書いてあって、
 うーん、でもこれじゃオチてない、と思いまして。
 で、どうしようかと。
 で、実は現在再考中であります。
White 初稿版のは、前提知識があれば(*24)オチてるんですけど、
 ないと分からないですから。
 まぁ、ミックスものと言えば、よくあるエヴァ小説のスタンダードですし、
 それでもいいかなとは思うんですが。
*24:前提知識があれば
綾瀬氏の原稿の初稿版のラストは、「パトレイバー」の某シーンのパロディであった。 元ネタとなる場面を知っていればオチが付いているのだが、 知らなければオチが感じられずに終わってしまうので、改稿作業が行われた。

「セレナーデ」その実態3:各人各様なお話について

White で、次、わたしの原稿についてですか。
 実はわたしのについては以前に直接ssuzukiさんとやりとりしたので、
 ここにはないんですけど。
 まぁ今回のは……短いですね(笑)
一同 (笑)
かれん ただ、読んでてよく分からなくなるときがありましたけど。
ichi でも、言葉を味わうって意味では、良くできているなと。
 文学的、というんですか。
 軽いエヴァ関連の文章を期待している人にはつらいと思うんですが、
White まあ、こういうものもあるんだよ、というつもりで書いたんですけど。
圧縮 読んでも分からないままの人が多いような気もするが。
秋葉 分からない人には、「なんだこれは」で終わっちゃいますからね。
かれん 私も、よくわかりませんでした。(苦笑)
ichi でも、文章をよく読んでいる人にはいいかな、と。
White まぁ、「短編小説」としてですね、
 エヴァ小説にはあまりないタイプのものを書きたかったと。
 文芸誌に載るような小説調で、ってところですかね。
秋葉 こういうのがあってもいいよね。
ichi うん。
かれん これは、すごくいいと思いますよ
ichi まぁ、Whiteさんしかやらなかったろうね、こういうのは。
かれん あ、それは言えてる(笑)


White じゃあ、次はssuzukiさんのですか。
 ええと、私がちょっと指摘したのへの返答って形なんですけど、
 私の
 「やっぱりまだラストが再考の余地ありですか」というのに対して、
 『そういうこというなら、思いっきりヘンなのにしますよ、ラストは
  いや、無難に終わらせるよりはね。
  私はダテに変な映画ばっか見てませんから』
一同 (笑)
秋葉 何の自慢や、それ(笑)
ichi まぁ、ssuzukiさんは、書く文章にすごく幅のある人だから。
White 重っ苦しいのとバカ明るいのとで。(*25)
ichi すごく、多芸な人だから。
かれん 私、あの人の小説読んでから物理の人間というのは恐いものだと思いましたよ。
ichi あの人も、たくさん文章読んでる人だからね
White あの人の奥は深いと思いますよ。
 「あなたいつ研究してるんですか」って思うぐらい
一同 (笑)
秋葉 なんかそれは誤解されそうな言い方だけど。
かれん 私がインターネットのエヴァ小説を読んで最初に思ったのは、
 同人誌界よりも育ってないな、ということなんですよね。
 ただ、同人誌界ってのは、変なふうに育ってるんです。
 で、ssuzukiさんのみたいにきちんと文学として書くってのは、
 あんまり同人誌では育ってないと。
丸山 そういうふうに書いてる人というと、Whiteさんとか、naryさんとか
秋葉 ssuzukiさんとか林ぐらいでしょ、あとは
かれん だから、そういうの読んだときはびっくりしましたね。
 これは場が違うなと。
 自分のページ、閉めようかなとも思いましたよ。
White 雰囲気としては、昔の――明治とかの、同人に近い雰囲気なんじゃないかなと
ichi すごいものに例えるね(苦笑)
White 確かに(笑)
 でも、すごく雑多で、あとうまく育つとまっすぐ育つかも知れないなという。
 で、私の野望はですね、今回の本の執筆者から一人か二人ぐらい
 プロを出してしまって、で、今回の本をやっぱりレアなモノにしたいなと。
一同 (笑)
*25:重っ苦しいのとバカ明るいの
ssuzuki氏のホームページに掲載されている2つのエヴァ小説、 「リィ、ナ、クルイネ」と「碇君の家庭の事情」は、 あまりにノリが違うことを指している。 前者が下手をするとエヴァ本編以上に重く暗い話であるのに、 後者は「バカバカしい」の一言で説明できるというギャップは、 果して同一人物の作品なのか疑いたくなるほどである。
White ええと、それで次、村山さん(*26)のですか。
 要するに、エヴァの話を再構成して、詩でパロディしてみようと。
 ですけど、所々すばらしい表現とかがありまして、あ、これはやるなぁと。
 例えば冒頭の「白く、白く白い」とか。
 そのヘンのセンスが、いい意味で「イッちゃってるなァ」と
 これもおもしろいモノだなと思いますよ。
かれん でも、そう考えると、ブースとる場所を間違えましたよね。
 エヴァじゃなくて、小説で取った方が良かったかもしれない。
ichi それは言ったらミもフタもない(苦笑)
かれん でも、そう思いますよ。
ichi それならそれで、小説の世界に引きずり込むのダァー
一同 「ダァー」ですか(笑)
かれん でも、その素養のある人がどのぐらいいますかね
ichi いや、100冊あれば1人ぐらい……
かれん ということは、予定では全部売れたとして1人ちょっとぐらい(笑)
*26:村山さん
「Three Children of Eva」主催
詩や自身によるイラストなども掲載されており、その独特の雰囲気は一見をお勧めしておきたい。
ichi かれんさんのも面白いと思うよ
かれん あれは……別の意味で面白いんでしょ
ichi いや、でもいいところにチャレンジしたと思うよ。
かれん ていうか、ただ単に、対象の読者が男性なんだろうから、と思って
 ◯◯◯じゃしょうがないやって思って。
ichi そんな冷めた言い方しなくても
かれん だって……書くの一緒だもんと思ったから。
ichi やっぱり男性が多いのかな。
秋葉 でしょうね。
かれん 女の子が相手だったら私はいくらでも書けますよ。
秋葉 感心……するのは怖いなぁ(苦笑)
nary 私は、そういうシーン書いてると恥ずかしくなってダメなんですよね。
 そういうのありません?
秋葉 ありますね。
かれん そういうシーン書き始めたの中3だったんで。
 もう恥も外聞もないです。
nary いっぺん、ラブシーン書いて、何度削除しようかと思ったことか。
White 私は平気ですね。
 ホームページのやつなんて、出だしがアレですから。
一同 (笑)
かれん でも、今回の話は読み返せませないです。
 Whiteさんから指摘があって、やり直そうやり直そうって思ってるんですけど、
 その部分になると読み返せなくなっちゃって。

「セレナーデ」その実態4:まだ出来てない原稿(笑)+etc.

White と……これで書いてる人の分は一通りやったんはずなんですが(*27)
ichi できてないものを除いてね。
一同 ですよね、秋葉さん。
秋葉 すいません、煙草吸っていいですか(汗)
かれん まぁ、しょうがないですよね。
 書けるときには書けるけど、書けないときには書けない。
秋葉 書けるときが、締め切りまでに来るかって言う問題があるんですが。
かれん じゃあ、血反吐吐いてでも書いてください。
圧縮 誰か拝み倒して書いてもらうってのは?
秋葉 それは……やっぱり、自分で書きたいって思うじゃないですか。
かれん 凄いなぁ。そういうの聞くと、次元が違うなって思っちゃう。
丸山? また、なんで?
かれん いや、書くって事に対して、真面目って言うか。
秋葉 え? 全然不真面目じゃないですか。書いてないんだから。
かれん というか、
 書けないのは自分の書くものに対して責任を持ちたいからでしょ?
秋葉 まあ、つまんないものを書いたらそんなのどこにも載せたくないですから。
かれん そのへんが偉いなと。
 私、つまんない作品を書いて載せたこととかもあったから。
 それも、依頼原稿にそういうのを書いてたから。
秋葉 でも、こういう面々の中で自分の中途半端なものを載せると、
 おんぶにだっこって感じで、いやじゃないですか。
 最低でも時分で満足できないと載せられないだろう、と思うんで。
かれん 偉いなぁ。
White まぁ、面子からして、この筋――インターネットエヴァ小説という世界では、
 『書ける』面々が揃ってますからね。
 そういう意味でも、今回の本はお勧めできる一品となってますね。
*27:一通りやったはず
実は、まとうさんの原稿に対しての話をしていなかったのに気付いたのは、 テープ起こしが終わってからである。 ということで、この場で説明。
まとうまさと氏、「機動新世紀エヴァンゲリオン」主催。 エヴァ+ガンダムな世界感を描いている。
「セレナーデ」での原稿は、 「旧世紀空想特撮風シリーズ『ウルトラエヴァン』」 要するに、ウルトラマンなエヴァの話である。

まとめ:とりあえず買うように

White ええと、では、話が拡散しましたけどまとめってことで
 ……とりあえずですね、「今回の本は面白いぞ」と
かれん インターネットのエヴァ小説を知らない人にとっては、
 触れるためのいい機会だし、
 インターネットのエヴァ小説を知ってる人に取っては、
 これはもう超レアものっていうか(笑)
ichi とりあえず、珍しくみんな苦しんで書いたものですから(笑)
White まあ結論としては「面白いから買ってくれ」ということで

余談

丸山 後の見所は、この座談会がどれだけカットされるか、ってことですね。
White まぁ、それは編集の腕の見世どころということで。
 そういうことで、まぁ、この辺で。

果たして、実際にどの程度カットされたのかは、各自で……確かめられないな(笑)
そこで、「セレナーデ」お買い上げの方の中から抽選で、
この座談会の収録テープをプレゼント、という企画を立案中である。
ということで、やっぱり買うのだ>読んでる人。
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