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映画を語ろうと思うなら、とりあえず「燃えよドラゴン」とか語ってみるべきだろう。別に「マッハ!!!!!!!!」とかでもいいんだけど、まあそういう類のものを。
_燃えよドラゴンにはよい映画たるに必要と思われるもののほとんどがない。話の筋はグダグダだしテーマらしきものもおよそ存在しない。ブンガク的視点というもので切ってみれば燃えよドラゴンは間違いなく完膚なきまでのクソ映画だろう。
しかしながら、燃えよドラゴンには「ブルース・リーが格好よい」という事実が断固として存在する。あの完璧な立居振舞で動く、殴る、蹴る。もうとにかくそれが気持ちいい。リー先生が立っているだけでシビれる。その圧倒的な身体の威力の前には、それ以外のなにかなどどうでもいい。そして撮るほうもまたそれを理解していて執拗に先生を格好良く撮るのである。難があるとすればいまいちメリハリの効いていない構成であるが、まあ大事なところではだいたい先生が奇声を上げてくれるのでそれに従えばよかろう。
この映画に対してあるべき態度があるとすれば劇中の言葉の通り『考えるな、感じろ』であろう。実際それ意外の態度でこの映画に対峙したところでろくなものは見えてこない。
しかしながら、「燃えよドラゴン」は圧倒的にすばらしい映画であり、映画を語ろうと思うならば間違いなく見ておくべき作品のひとつだろう。このまったく無為な作品を観ることで、「考える」ことの非万能性、「感じる」ことの有用性、あるいは映画が映画たるために最低限必要なものはなんなのか、ということを知ることができるはずだろうから。