近頃版/another blog@hatena/Wiki/BBS
< 購入物 | どうせやるなら。 >
then-dさんとIRCでやった会話を記録しておく、というのも兼ねて少し思うところを書いておく。当然最近webの一部で話題になっているのは(ちょっぴりだけど)意識した上で。あと、これとは別のチャンネルであんよさんともまなび話をしていたので、そっちもあんよさんの許可が取れるなら同様のスタイルで上げたいかも。あっちは俺のスタッフ萌え力説になってるだけって気もするけど。そんなわけでどうでしょう>あんよさん
then-d: なんかアレだね。週初めの元気の源が失われるのが惜しい
white: またなんか始まるとは思うが
then-d: まあ、旅立つ日が来たと言うことだ、学園生活と同じように。
then-d: しかし、OP歌詞同様後で分かるよだよな。自分が高校の時どうだったかというと、吹奏楽にはかまけていたけど120%燃えていたわけではなく、先を考えつつも全ての方向に不完全燃焼だったと思うわけだ。
white: ふつうそんなもんだと思うわよ。
then-d: まあ、まなびはしもじー視点でないと見られないとは思う。現役高校生が見ていたら青臭くて死ねとか思うかも。それはギャルゲーもそうか。だからこそゲンミツに(性描写の有無に関係なく)18禁にすべきなのだ(ぉぉぉ
white: 18禁云々はまあいいとして、まなびの根幹に流れてるのはノスタルジーだよね。だから今がキラキラしてる年代の人にはわかりにくいのかもなー、とも思う。
then-d: それはフタコイオルタも同じ?
white: フタコイオルタの方が青春物としての出来はよかったような気もするのだけど
フタコイオルタナティブ。まなびと同じufotable制作の、TVアニメシリーズ。いちおう原作(電撃G'sマガジンの読者参加企画)付きのアニメだが、「双恋のアニメ化だからアニメ企画もふたつ!」という無茶を承けた結果か、「オルタナティブ」の方は原作を思い切り良く無視して半ばufotableのオリジナル企画のような体を成している。
then-d: フタコイオルタの方が生活感と挫折感と錯綜性があるので、私の心証にも合うのですが。
white: 舞台の存在感というか厚みの点でフタコイオルタの方が優れているのかなあ。
white: ああ、「双子6組をごまかしでもいいから出さねばならない」ために結果として背景世界に厚みが出てたのかも。
then-d: あの夕日と河原はクるものが。夕日は特にノスタルジー喚起力が大きいし
white: まなびは芽衣の話以降はなんか微妙にダレてた感じがあるんだよなあ
then-d: だから明確な敵が出てくると(以下略)
フタコイオルタでは、とてもわかりやすい形で明確な敵が出てきた。青春物の物語が本来立ち向かうべき心理だとか人間関係だとかを吹き飛ばして、「敵」として具現化させちゃうのは卑怯だがとても効果的なやりくちだ。なにしろ敵と戦うシーンで客の目をごまかしつつ、戦いの過程でキャラクターの選択やら苦悩の打破やらを(やっぱりわかりやすく)展開することもできるわけで。
対してまなびはそういう要素があまり明確にはならない。
then-d: でも、シナモンシュガーレイズドハピネスはだれではなくて白眉だと思うけどな
white: ああ、あれはすごかった。あの「なんにもない話」をやれるのは凄い。
まなびの第6話「シナモンシュガーレイズドハピネス」。これについては冒頭で述べたあんよさんとのIRCでのログで(私が)力説してるので、とりあえずはそっちを待て(ぉ ただ、あの回についてどうしても言っておきたいことを強調するならば、「あの回で脚本はなにもしてないわけじゃない。『なんでもない日』を見せるために脚本は『何か』なんてしちゃいけなくて、だから作画(と声優)を信じて『何もしない』ことを選んだのだ」と。おそらくはすごく入念な「何もしない」なのだけれど。
then-d: フタコイオルタで言えばギターと探索の回にあたる? あと、エメラルドマウンテンとコーラの回も。
white: そういう回が複数回用意できたことが、フタコイオルタの強みだったと思うのね
white: で、なんで複数回できたかというとそれはゲストキャラの存在なわけで
then-d: 12人の効能になるわけですね
white: 足かせがある方が面白い仕事がやりやすい、という話なのかもしれんけど。
then-d: ニコタマ取材による説得力はあるだろうなぁ。逆に、ホワイトベース温泉はアタマ抱えた
で、フタコイオルタにおいて「シナモンシュガーレイズドハピネス」あたりに相当するであろう回が第4話(放映時5話)「7DAYZ(...and Happy Dayz)」と第5話(放映時3話)「エメラルドマウンテン・ハイ」。これもまあ、多少の伏線は張りつつも基本的には「何もしてない」話。フタコイオルタのそれの方が、(キャラクター設定の都合上)ノスタルジーに振った部分が大きいようにも思うけれど。ちなみに放映時話数と制作話数が違うのは、7DAYZの制作に時間がかかりすぎたのだという噂。
これらの回以外でも、フタコイオルタで特徴的なのは、街の風景のカットが印象的に多用されていること。カメラが街を自由に行き来することで、生活感とか実在感がよく出ている。このへん、どうしても学校に舞台が押し込められがちな「まなび」に対するアドバンテージかも。
そんなわけで、学校という舞台から解き放たれ街に出た「シナモンシュガーレイズドハピネス」は、「まなび」中では「フタコイオルタ」にかなり近い色が出てるようにも思う。
then-d: あと運指は無視、同じカット複数使用はあるけれど、バンドのシーンへのそれなりの説得力はまああったと言ってよいのではないかしらん。
white: その発言、ハルヒ意識しすぎ(笑 でもさ、まなびのは説得力はそんな必要なとこじゃないんじゃない? つか、むしろあそこでは観客にも歌って欲しかった。なんか合唱になっちゃうイメージで。
then-d: それはあるなぁ。
white: しかしアイドルとしての堀江由衣の旬の終わりの利用という観点で見ればそれがやれないのも事実、というかキングレコード様の意向みたいなびみょさが。
then-d: そういう方向では見なかったなあ。むむむ。声優に興味が向いていない証拠かも
white: いや、単に見方が下世話なだけだから(笑
で、ようやくこの夜にみた11話についての会話。
バンド演奏のシーンについて言えば、もちろんハルヒを意識してないわけはないと思う。でも、多分に技術デモ的だったハルヒのそれと違い、「まなび」のはあくまでも悪目立ちしない範囲で作られてる。あとストーリー上ぽんといきなり出てきたハルヒのそれに対し、まなびのは初回と、新校歌と、放送ジャックって流れを受けてるシーンだ。
で、後段はそのへんについての下世話な見方について。でもさ、初回ではまなびが一人で歌ってた校歌を、この回でみんなが歌うってのはストーリー構成としても正しいように思うんだよね。なんでそれをやらないかというと、オイシイところは最後に取っているのでなければ「大人の事情」だろうね、と。バンドリーダーの配役が茅原実里だったことも合わせて考えると、どうしてもそんな印象に。
white: あとまなびはあれだ、映像作品としてみたときにアクが弱くて面白みが欠けてるのかな。共同監督なせいで、「監督の色」みたいなのがすっぽり抜けてるというか。
then-d: もっと藍ぽん視点で遠く離してしまえば、というのもあるかもしれなかったが、それをやるとひとり取り残されるばかりで目的と喧嘩するし。それはめぇーちゃんでやった。
white: 全6話とか8話だったらよかったのかなあ。プロットに対して尺が長いのかも。もう一個ぐらい脇道のエピソードが入っててもよかった…という感想が出るのは珍しいなあ。「足りない」とはよく思うのに。
で、このへんからシリーズ構成に対する批判的な話に入る。前半でやりたいことをやり尽くしてしまって、後半はなんか息切れしている感があるのだ。「脚本が頑張る回」とか「作画が頑張る回」とかいう分担でやって、そしたら総まとめがおろそかになってしまった……みたいな? そんな印象を吹き飛ばす最終回を期待したいのだけど、どうかなあ。初回冒頭の伏線を見事に回収してくれるといいのだけれど。
then-d: (構成上は)学園祭が通過点でないともたない?
white: いや、学園祭が最後でもいいと思うんだけど。むしろ問題は、夏休み最終日で構造上やること全部やって終わってることの方で。それ以降はおおむね一度やったことの繰り返しで、そのわりには変奏が足りてない。
then-d: 全員クラス一緒なのがまた微妙で。
white: 演劇部の部長(?)とかがもっとキャラとして立たないとダメだと思うんだよね。いや、出番のわりにはすごい立ってるんだけどさ。
then-d: 確かに、生徒会室移動の件とか変奏にはなってないが、そこが学園祭実施に直結しているのでねぇ。
white: だから「もっと尺を短くすれば」というすごい珍しい感想なわけさ。
then-d: しかしそうすると序盤の期待感→挫折→復活の大筋が崩れるのですが。最初期待感がないと引きが弱すぎるだろうし
white: ああ、それは確かにそうだ。
then-d: 私はむしろ、敵としての愛洸学園理事長ではなく、背景に隠れた、学校通わなくても、という面子とのなんとか、という方も……と思わなくもない
white: それは……それこそ出しどころがない。
then-d: 最初から相容れない面子と処理されているとそうなるけど。
white: いや、キャラクター一人出せば見せられるものじゃないでしょ。だからって重層的に描いちゃうと話のバランスが崩れるし。最悪「がくえんゆーとぴあ」のお話ではなくなっちゃう。(社会と対比されることで)モラトリアム性がより顕著になるというか、ディストピア的に見える可能性すら出てきちゃう。
then-d: この世に不在のゆーとぴあだからねぇ ♪they say it was in Animation〜って。
then-d: まあ、ありえないことをもって(まなびのキャラクタ造形を含め)そこを批判してしまう人も多いと思われるのでありますが、それはわかってないね、と言っておこう。
「ありえないことをもって」というこの一言、とても大事。ぼくらの(ちょっと歳の行った人間の)ノスタルジーを喚起するのは、「ぼくらの学生時代そのもの」よりも「ぼくらがこうでありたかった学生時代」なんじゃないかと思う。
以上が放映直後のお話。で、以下が翌日夜。
A: ログ読んでなんだけど、まなびの校歌のシーンはなんで合唱にならなかったのかが未だに不思議でならない
white: マーケティングの問題だろう、やっぱり
then-d: まあ、堀江声はいろいろヴァリエーションつくって二枚目俳優から性格俳優への転進みたいな試みもありそうな悪寒(と声優評論家でない私が邪推しすぎ)
ここだけもう一人出てきて、この話を蒸し返し(苦笑 というか、蒸し返されたからこれ以降の会話になったんだけど。
で、堀江由衣の話だ。実際そろそろ転換期にはきてるように思う。というかそういう視点で見ると「まなび」って、林原めぐみと堀江由衣が両方使われてるんだとな。で、野中藍までいてなんとなく歴史のラインが見えるわけで。他のキャスト陣もまあ、なんかそういう意図が透けて見える感は当然する。ま、最近じゃあ珍しくないことだけど。
then-d: 交代で仮眠を、のところの声は吹いたな。あとなつのおしまい(ばいばい)もえがった(むろん、これもみかんのところだが)。
white: 実はストーリーを駆動させちゃいけないってことなのかも。
then-d: 学園祭に向かう方向性が強く現れている部分はつまらなく、淀みのほうが断然面白い。これはフタコイオルタも同じだった。その点なかたさんのストーリー駆動×というのは同感。
then-d: まあでもこの回でみえなかったところから、わたしにもみえるよ、に繋がるのでそこは認めないとね。
white: まなびの口ぐせを実践してストーリーをまっすぐ進めるとダメになる、と考えてみるとひどい話だ(苦笑
then-d: まなびとは、遠くにありて想うもの、そして楽しく騒ぐもの(笑
「まなび」の良いところ、悪いところ、の話。短い会話だけど、「まなび」という作品の方向性をよく語ってると思うのだ。ノスタルジーを喚起させるような、後で思い返して思い出に残ってるようなシーンはとてもよく見せてくれている。でもそこから踏み出して、ストーリーとして動かし始めると、なんだか無理が出てきてしまっている。ノスタルジー喚起装置としては目的を達成してると思うんだけど、でもちょっと寂しくもある、かなあ。
white: 脚本と作画の仕事の位置関係が逆だったものとして、ファフナーと比較すると面白いかもしれないとか思ってみた。
then-d: 前半見ていないのだ
white: 後半だけ見てればわかるよ。ええとね、前半の出来がガタガタだったところを、冲方せんせーが脚本全部握った上で作画をちっとも信じないで台詞だけでブン回した(苦笑
then-d: 確かに言葉責めだったなぁ
white: あの絵の作品はよくそうなるんだがなー(笑
then-d: 平井絵は動かしにくいのか?
white: 動かしにくくて、あと表情が付けにくい
then-d: リヴァもまあ……詰め込んだのもあったけど。しかし私はリヴァイアスは好きだ(変態マゾ)
white: 儚いとか物憂げとか、そういうイメージを払拭しにくいのね、極端に。
then-d: んじゃたあたんちぇっく絵は逆にそういうイメージが表現しにくいとか言ってみるか
white: 多分それはわざとやってるからなあ。なにしろあの絵で芽生のトラウマ話やっちゃうわけだし。
then-d: うん、ひぐらし(ぉ
最後は絵柄の話。でも「まなび」の絵って、実はそれなりに使いやすい絵なんじゃないか、という気もしてる。動かすことのできるスタジオ(ufotable)の力ってのは多分にあるけど。むしろ演出自体は実はエグかったりするのを、あのかわいい印象のキャラにやらせることで和らげてるという気もする(このへん断言する気なら見直して要検証だな)。特にまなびという物語上の「不変点」となるべきキャラの不変性を出すためには、あの絵柄でないといけない(あの絵柄だからあの天真爛漫さ、そこから導かれるひたむきさが出せている)と思うのだ。
以上、まとまってませんが俺の中でもまとまってないのでまとまってないままお送りしました。