Whiteのふりーとーく

読んだものとか

• ニュートンズ・ウェイク{ケン・マクラウド／ハヤカワSF文庫}
  評価に困る。ともてもガジェットフルな話で提示されているビジョンにはドキドキしたりワクワクしたりできる…のだけど、話の中身とSF翻訳文体がすごく合っていない、という印象。電車の中とかでちまちま読んでしまったのが悪いかもしれないけど。
• 天涯の砦{小川一水／ハヤカワSFシリーズ Jコレクション}
  これまた評価に困る。面白いか、と言われればまあ面白いのだけれど。なぜか読後感が妙にもやもやしている。いくつものSF的ビジョンを出しながらそれらをあくまで脇に置いて、人の物語を展開するあたりはむしろ好感を抱く。そうして構築したSF的かつミステリ的な状況を最低限解決できているとも思う。それが最低限なあたりが、第一の不満なのだと思う。第二の不満は、作者にしては珍しく悪趣味な（褒め言葉）展開と、それを台無しにするエンディング、だろうか。あるいは帯に騙された、とも。
• 終わる世界、終わらない夏休み 〜芹沢和也の終末〜 {あきさかあさひ／ファミ通文庫}
  やあ、これはひどいループゲームですね。ちょっとそのへんの提示が丁寧すぎる気もするけれど、まあそれも味か。上下巻の上巻らしいので評価は下巻待ち、かな。
• “文学少女”と飢え渇く幽霊 {野村美月／ファミ通文庫}
  とりあえずは野村美月はこんな普通の文章が書けるのだなあ、という感慨から語るべきか。ミステリーであり、名作に対する愛の吐露であり、それでいながら繊細な心の物語で、しかもきっちりエンターテイメント。それから「本」としての出来も悪くない――諸事情からあんまり褒めたくないのだが、褒めざるを得ない感じ。
• 恋の境界線 {天櫻みとの／プラザCOMIX}
  作者自薦の過去作品集、なんだけど微妙に締まらない感じ。あとがきで作者自らも書いているようにシリーズ作品の最後の一篇だけが入っていないとかあるけど、むしろせつない系の話のストックが尽きたので数が揃ってるもので適当に埋めたという感じも（苦笑）　あと、描き下ろしの一本の商品っぷりと、他収録作の作品っぷりのギャップが楽しくもあり寂しくもあり。