Whiteのふりーとーく

2006FIFA W杯 準々決勝 イングランドvsポルトガル

About this Page |過去分一覧

近頃版/another blog@hatena/Wiki/BBS

< 2006FIFA W杯 準々決勝 フランスvsブラジル | 近頃。 >

 

2006FIFA W杯 準々決勝 イングランドvsポルトガル

どちらのチームも高いクオリティを持っている。しかしどちらのチームにも大事なパーツが欠けている。

無論彼らに限ったことではなく、他のチームにだって欠けているものは常にある。だが少なくともこの試合において、欠落度はポルトガルの方が高かった。

前戦オランダ戦でデコが貰った2枚のカードは、いずれも審判に責があるものだと思う。一枚は中断後のドロップボールによる再開でオランダがボールを返さず攻めようとしたものをやむなくハードタックルで止めたもの。もう一枚はどう見ても遅延など存在していない(むしろ食って掛かってきたコクーに非紳士的行為でカードを出すべきような)「遅延行為」によるもの。他にも乱発されたカードにより、累積出場停止になりかねない選手はごまんといる。言うなれば、「オランダには勝ったがロシアに負けた」(あの試合の主審はロシア人だった)ような満身創痍での戦い。

_だがしかし、試合はそんなところで分かれるような展開にならなかった。一言でいうなら「FW不足」。ハーグリーブスを4-1-4-1の底の1にアンカーとして置いたシステムは素晴らしいが、ルーニーはどう見てもワントップをこなせるとは言い難い。対するポルトガルのFWパウレタは、ぎりぎりワールドクラスに入れてやってもいい、というレベルの選手。明らかに中盤の構成力には不釣合いなものでしかない。

そして双方守備ブロックは粘り強く硬い。イングランドが攻撃の形を作れるのはベッカムがFKなりCKなりを蹴る瞬間のみ。対するポルトガルは攻撃の形こそ作るものの決め手を欠く。

_試合が動いたのは52分、ベッカムの負傷交代からだった。やむないこととは言え、ベンチに戻り顔を覆ったベッカムの落胆は目にも明らかなものだった。そして途端にイングランドの攻撃力がなりを潜める。加えて62分、ルーニーがやらかした。中盤での攻防でリカルド・カルバーリョの足を引っかけてファール、そこまではよかった。しかし駆け寄ってきたC・ロナウドに対し報復としか思えない突き押しが出る。あるいは何かの暴言もあったのかもしれない。おそらくはファールそのものではなく、その後の行為により一発レッド、退場。

_イングランドにはFWがいない。オーウェンは負傷で離脱、ウォルコットは正直数合わせ――ということでエリクソン監督の選択はクラウチ……ベッカム専用の電柱なのに?

そしてクラウチはベッカム専用オプションぶりを遺憾なく発揮した。ゴール前での動きは下手糞、ボール扱いにも不安がありまくり、とてもじゃないがポルトガル相手に前線で基点になれるようなクオリティではない。

さてそうなると、2年前のEUROでも見たエリクソン病が再発である。豪華なMF陣を有しながらやってることはイタリアばりの(やや精度の劣る)カテナチオ。ひたすらポルトガルに攻められっぱなし。パウレタを外してC・ロナウドをFWに上げたり疲労したフィーゴに代えてパウレタに劣るポスチガをやむなく入れたりというポルトガルのFWの弱さに感謝しろという展開。もちろんリオ・ファーディナンドとジョン・テリーのCDFコンビは素晴らしい活躍をしたが、フットボールというのはDFが頑張ったところで勝てるゲームではない。

_決め手を欠いたまま試合は延長に、そこでも同様の展開が続く。ボールを奪って前に出すがそこにいるのはクラウチ、その当たり弱さに願いをかけてファールを受けるのを期待して、見事FKを得たら少し攻める気を出してみる。お前らアメフトやってるんじゃねえんだぞ、と罵倒したくなるようなグダグダな試合運びしかできない「母国」。

唯一見所があったとすればポルトガルのフェリペ監督の対応か。イングランドで最も点が取れる匂いのするCDFコンビの上がりを阻止すべく、人材のミスマッチを覚悟でシステムを2トップに。これがおそらくは利いた。ポルトガルは攻め続けたが、得点は奪えなかった。そしてPKへ。

_そしてそのPKで、またも両者の違いが出た。

ポルトガルGKリカルドは一番手ランパードを止めたのをはじめ、三本のキックを止めてみせた。決められた一本にしても完全に読みきっていて、ボールサイドには飛んでいた。対するポルトガルは、キッカーが技巧に走りすぎて2本を外すものの、イングランドGKロビンソンは外れた2本も含めてほぼ完全に読みを外した。

完全にGKの差。極めて必然的に、ポルトガルがPK戦を制して、ベスト4進出。

TrackBack ping url:

 宮本聖子(パートナーズ・プロ) : 乳

名前

TrackBack:


御意見・御感想の宛先white@niu.ne.jp