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< ネットゲームと経済系・二題+α。 | 敗北宣言 >
SCEI、「プレイステーション 3」11月11日発売 価格は62,790円!! コントローラも発表(GAME Watch)、ということでPLAY STATION3の正式発表。
「苦しいなあ」というのがとりあえずの感想。HDD20GB版が$499、HDD60GB版が$599というのはどうにも高い。Xbox360・HDDなし版が$299、HDD20GB版が$399というのに比較するとその高さは際立つ。もちろん潜在的なスペック(3D描画性能)や新規性の高い機能考えれば価格差はそれなりに妥当だろう。だがゲーム機というのはプラットホーム商売であってハードウェアの性能比較で買われるものではない。
Xbox360の両バージョンが「廉価なスタンドアロン用」「Xbox Liveを含めたフルスペック用」というカラーを与えられているのに対し、PS3のそれは「価格のために削った」という印象がどうしても拭えない。どちらにもHDDを積んだのはせめてもの根性だが、メモリカードリーダー・無線LAN・HDMI出力というのは「プラットホーム上あまり問題がなくかつ部品価格が削れるところ」というチョイスであろう。
_Cellの開発を主軸とした並列化、という方向が間違っているとは思わない。直接のライバルであるXbox360もPowerPCの3並列マルチコアという構成を採っているし、PCにおいてもIntel/AMDの双方がマルチコア化を将来の方向としている。動作速度向上・IPC向上が頭打ちになりつつある現状では、CPUパワー向上は並列化に進むしかないというのはほぼ間違いないだろう。
_問題は、PLAY STATION3がそこでかなり積極的に新技術を使おうとしたことだ。
PS2がDVDを採用した段階ではDVDソフト市場が既に立ち上がり、再生専用機も(規模はともかく)それなりの数が市場に登場していた。しかしPS3が出ようとしている現時点において、BDソフト市場は存在しないと言っても良いし、ドライブの量産数も格段に少ない。
1080p HDMI出力規格対応も同様だ。ハイデフ対応ということでは筋のは通った策であるが、出力される側である1080p HDMI対応機器が出てくるのは当分先になることを考えると、規格制定を急がせてまで搭載する必要があったかには疑問が残る。
_とにかくPS3は「早すぎる」ハードだ。ただでさえCellの設計が先進的すぎるという不安要因を抱えているのに、ハイビジョン対応TVを普及させるための起爆剤にという旗印をも背負わされたため、全体の設計がひどくいびつなものになってしまった。このハードが5年後に出るのであれば納得が行くのだろう。しかしPS3が夢見ているビジョンは、今の段階ではあまりに遠すぎる。
正直な話、あと1〜2年ぐらい遅れてもいいからじっくりとイニシャルタイトルの開発をさせたほうが得策なんではないだろうか。