近頃版/another blog@hatena/Wiki/BBS
< VMware Server: vmware-mui on Fedora Core 4 | 今年は試しにWiki運用らしい >
FF12において「ガンビット」と名付けられたPCの(戦闘)行動パターン設定システムが、実に良いBOT製作システムなんである。
_BOTはもちろんMMORPG用語でいうところのBOT、プレイヤーという中の人がいなくてもそこそこ上手に戦闘をこなして経験値やお金の類を稼いでくれるアレのことだ。MMORPGだとたいていプロトコル解析だのクライアントプログラムのクラックだのという微妙に不正っぽい気がする行為(*1)を前提として行われるので好印象を持たれていないシロモノだが、最初からゲームデザインに組み込んでしまえばそれはそれで面白いゲームが作れるのになあ、とは以前から思っていたのだが、FF12のこのシステムはその感を見事に実現している。
もっともこの手の「行動パターン設定」自体がゲームになることはそれだけをゲームにしてしまったカルネージハートあたりがとうに示してたわけで決して目新しくはない。目新しくはないのだが、それをRPGを快適に進めるための補助システムとして取り込んだあたりには新規性があると言えよう(私の知らない類例があるかもしれないが)。
_しかも、取り込む際に単なる補助ではなく「有効に使わないと損をする」ようにバランスを取っているあたりはいかにも(SaGaシリーズで)ゲームらしいゲームを延々作り続けてきた河津氏の作品らしいと感じる。
特にいわゆるボス戦ではこのシステムの有効性は圧倒的だ。
もちろんコマンドを手入力することも可能なのだが、リアルタイムで進行するうえに敵の攻撃能力の高さゆえころころ局面が変わるボス戦において、PC3人分のコマンドを入力しまくるのは苦痛以外の何者でもない。ということで「ガンビット」の出番となる。こいつはプレイヤーを地獄のコマンド入力作業から解放し、代わりに戦局に合わせた行動パターンのチューニングを行うことになる。そしてそのチューニング作業が、実に楽しい(無論、手入力でパターンに割り込むことはできる)。
このへんの手触りはGuildWarsと非常に似ているのだが、FF12の方がより先鋭的かもしれない。なんにしてもGuildWarsがDiablo、FF12がFF11をベースとしながら、単純作業性に対するアンチテーゼとして似たようなシステムを持ってきたという共時性(*2)は実に面白い。余談だが「お願いだからパターンテンプレートのセーブ領域をくれ!」を不満点として思ってしまうあたりも実に似ている。
_河津氏デザインのゲームには、プレイヤーに(戦闘における)単純作業をさせまいとし、頭を使い工夫することを楽しませよう、というデザイン意識が共通して見られる。FF12の場合は、ガンビットシステムの存在がそれにあたる。そして同時に、オンラインRPGの発生によっていわば退化してしまった感のある戦闘システムの改良実験であり、「観るRPG」でありながら「頭を使うもの(=ゲーム)」であることを満たすための要でもある。こういう突拍子もない、だが実に合理的なデザインをかましてくるから、河津デザインのゲームは面白い。
_でまあ、最後に実際に運用する上での注意点とか。あっちこっちの攻略サイト見たほうがより実戦的だと思うが、いや自分で考えたいという人のために(多分最低限の)陥りやすい罠について。
他はさておき、上記の点だけは把握しておいたほうがいいだろう。でないとホントに全く別のゲームになってしまうであろうから。
masamasa : GWやFF12はゲーム観について考えされられますね。GWやFF12は、つまらないという"感想"を各所で見るのですが、「頭を使うもの(=ゲーム)」の部分を「頭を使うもの(=私の考えているゲーム)」だなっておもわされます。
ynakata : GWにしろFF12にしろ「負ける過程を楽しめる」人でないと辛い、というのはあるかもしれません。あと、寄り道せずに与えられた通りに進めていけばそれでOKな「おつかいRPG」として考えた場合FF12は最低でしょう。
巷の感想には見知らぬものに対する単純な拒否反応、ってのもあるでしょうし。
masamasa : 自分の中にも、おつかいRPGや単純作業の繰り返しだけで先に進む(ゲーム的には「褒賞が与えられる」)ゲームを楽しめる資質があることは確認できます。ですから、あとはその過多の問題ですね。その資質が多すぎたり少なすぎたり、あるいはそれしかなかったりする人が一方を拒絶して完全に受け入れず争いが起こるあたりを、また違うベクトルへうまく展開できないかと考えてます。理論上無理な,相容れない楽しみ方かもしれませんが。