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天皇家というシステム

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天皇家というシステム

純粋に機能面から考えるならば、天皇家の継承権問題に日本国は口を出すべきではない。

_現状、天皇家の機能は大きく考えて2つある。ひとつは外交カード。ローマ法王と同程度の権威を持つ外交官、というのは得たいと思って得られるものではない。日本の外務省が正直微妙な仕事しかしていない(ように見える)にも関わらず日本が外交においてそれなりのプレゼンスを発揮できる要因には間違いなく天皇家の権威というものが寄与しているだろう。

そしてもうひとつの機能は国家体制の承認機構だろう。むしろこちらこそが天皇家のもつ本来の機能であるともいえる。すなわち、代々における政体の存在・正当性を内的に承認するためのシステムだ。もっとひらたく言うならば、現日本国政府が崩壊した後に次の政府を承認するためのシステムである。

_もちろん日本国憲法、およびそれに連なる日本の法制度は、天皇にそんな機能があることを認めてはいない。だが、暗に認識されているであろうこの機能のことを考えた場合、天皇家というものは日本国という政体の枠の外側に位置しているという事実が浮かび上がってくる。

日本国憲法は日本国における天皇家というものを再定義し、日本国は皇室典範その他によってその行動等を制御している。しかし、そもそも日本国という枠の外側に位置する天皇家にとって、これらの位置付け・再定義は正当性のあるものではない。ただ天皇家はそれらを容認しているだけであろう。なにしろ皇族というのは、現実問題としてではなく法的にすら基本的人権が認められていない、と日本国を提訴することも可能な立場にあるのだ。

_天皇家を維持する目的は、天皇家という政体承認システムを維持することだろう。その維持が必要なのは、日本国が(暗にであれ)その承認下で存在しているからであろう。そして日本国が(日本国の側における定義はどうあれ)天皇家の政体承認機能の下に存在しているのであるならば、日本国は天皇家それ自体の正当性を揺るがすような変更を行うべきではなかろう。

_以下、補足的に。天皇家が神に相当するような絶対的なシステムである、と主張しているわけではない(神とて絶対的なシステムではないことは近現代史が示している気もするが)。ただ、日本において天皇家というのは法に先行して存在していたものであり、その先行性ゆえに法を承認できる権威をも持つようになったものである。そして、その先行性は安易に捨ててしまうにはあまりにもったいないだろう。

_以上の文章がなにを言いたいかについて超ひらたく言うならば、「先祖伝来の宝なんだから『色が気に入らない』とかで安易に塗り替えるのはどうよ」ということなわけだ。

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