最近の雑想
冬コミに向けて同居人をブレーンストーミングの相手に巻き込みつつあれこれと思案をしている。そんなわけで近頃強く想っているのはディプロマシーが「実に素晴しいクソゲー」であるということ。
…これだと私と同居人の人以外には意味がちっとも伝わりませんね。折角書いているのだから(原稿の下書きも兼ねて?)もうすこしわかりやすく書き下してみる。
- ディプロマシーの見た目のルール(盤状のユニットの移動規則)は至って単純である
- ユニットの強弱もなければややこしいZoCもない。複雑と言えるのはせいぜい海岸に関する扱いと輸送ぐらい
- しかもランダム要素がない
- だがしかし、各ターンの移動フェイズは不完全情報ゲームなのでプレイヤーにとってはランダムがあるのに近しい
- 複数のプレイヤーの行動を同時解決するので、他のプレイヤーの行動に関する情報は確定的でない
- しかしそんな単純なルールにも関わらず、ディプロマシーは極めて複雑なゲームである。
- その複雑性を発生させているのは「情報のあまりの不完全さ」だ
- その不完全さを解消するために交渉して自分の選択肢と引き換えに相手の選択肢を減らして少しでも状況が見えるようにする、というのがディプロマシーにおける交渉の第一義的な動きだろう
- しかしながらそうして得られた相互制約を放棄すること(=裏切り)は優位を発生させる
- そこで第三国を交えた同盟とすることで裏切りに対するペナルティを増加させる…のだが、それでも二国で結んで裏切れば以下略
- そんな感じでいくら考えても局面は結局「情報のあまりの不完全さ」に絡め取られたままとなる。
- そんなわけで、(メカニズム的にも)先読みとかがおそろしく通用しないわけだ。
- そしてその複雑さを乗り越える手段をディプロマシーは交渉以外に用意しない。
- ぶっちゃけて言うと「プレイヤーに全てを委ねてデザイナーはバランス取りを放棄する」スタイルのデザインである
- 余談:ゲーム内ゲームとしてオークションを導入するのもこれにあたると思う
- そんななげやりなデザインがクソゲーでなくてなんだというのだ。
- (最終的にゲームバランスをデザインしているのはプレイヤーだ!)
- しかしちゃんとわかってるプレイヤーを揃えてやるディプロマシーはたまらなく面白いのである。
kuon : ここではお初です。ディプロマシーって噂にはかねがね聞きますが(私は未プレイです)、お話によると、プレイヤー自体がランダム要素なので、そこが面白いわけでしょうか。プレイヤーがクソだと、クソゲーになりうるし、プレイヤーが素晴らしければ、名作ゲーになるって感じでしょうか。
white : 交渉主体のマルチプレイヤーズゲームに共通する話なのですが、「単なるランダム要素ではない」のがポイントです。(交渉時に)各プレイヤーはそれぞれの思惑を持って行動するので、その行動内容から意図がなんとなく読める、その意図を読んだり誘導したり裏をかいたりする部分がディプロマシーにおいてはプレイの中心になります。で、見かけ上のルールのすべてである盤上についてのルールは(ゲームトークンとしては重要だけど)真にプレイが行なわれるときのルールではない。より「ゲーム」にとって根源的な、ゲーム理論的な挙動が真のゲームの場(交渉の場)を支配することになります。
white : ところでクソなプレイヤーが(間違って)まぎれこんでいた場合、他の優秀なプレイヤーは最終的には共謀してクソなプレイヤーを排除しようとするでしょう。中間においては、クソのクソっぷりを知った上で散々騙して利用するわけですが。
Tsukasa : ディプロって地政学だと最近思いますな。久方ぶりにやりたいけど、この手のゲーム、最近やってないからなぁ
元TIMたなへ : 不完全性はゲームを面白くする要因でありその不完全性をコントロールするのがゲームの醍醐味。混沌に拍車をかけるために行動を指定したカードを引くランダムプレイヤーを混ぜてみるとどうだろうか?
white : 彼がランダムであるとわかっていると(というか多分早晩バレる)、周囲の全員でそいつを潰してから何事もなかったかのように通常のゲームに戻る、ってな流れになると思いますよ。