2005 コンフェデレーション杯 グループリーグ 日本×ギリシャ
グループ内の面子的に一番分が良さそうな相手、ではあるのだけれど守備の基幹になるであろう中沢はいないのねん…という試合。ギリシャ代表は確かにソリッドなチームだけれど、EUROでの勝利はノーマークだったからこそ成し得たものであって、はてさてジーコ様はそのへんきっちり対策してくるのかね、というあたりに注目しながら観戦。
- 日本代表は、自分たちのスタイルの活性化という指向が強かったものの、いわゆる「システム変更」によって対策らしきことは狙っていたように見えた。
- 3バック→4バックの変更は、加地のチームにおけるタスク意識の獲得によって成し得たものだろう。相手の不出来にも助けられた側面もあろうが、3バック時と変わらない動き・パフォーマンスを発揮できていた。「3でも4でもやることは同じ」を文字通り実践していたという点は重要だろう。
- 完全に「守備モード」「攻撃モード」を別個に持ち、ほぼセットプレーでのみそれを切替えるのが、EUROのときのギリシャ代表の特徴だったと思う。そのカラーはやはり健在だった。だがしかし、今日の「守備モード」は下がり過ぎの傾向があり、中盤の深い位置からゲームを組み立てようとする日本との相性は最悪だった。EUROで見慣れたよりは危機感の強い守備光景が延々続く。前半0-0で終わったのは日本の最終勝負の精度の低さのゆえ幸運だったのかもしれない。
- 後半に入ってゲームプランを遂行すべく積極的に動いたのはギリシャだった。早い時点で交代枠を使いきってまでして、チームのスタイルを動かしてくる。守備のポイントを前に出して中盤で勝負をかけ、キック&ラッシュ気味の攻撃をガンガン仕掛ける殴りあい、すなわちカウンターの撃ち合いに持ちこんできた。こうなると日本では俄然ヒデが動くようになる。ボールを奪取しては一気に前線に向けてスルーパス。一番好き(であろう)プレイを思う存分演出し、ゆえにメキシコ戦では失われていた猟犬性をも取りもどしていた。
- そんなヒデの「支配」に対し、前線もこれに応える。そんな構図が見えてきたところで玉田に代えて大黒投入。守備ポイントが変わったことへの対応、ということだろう。そしてこれが機能する。前を向く、前を向かせるためのプレーが満載。かくて撃ち合いの「必然」として先制点を奪う。
- 先制点後の五〜十分間、というのがこういうゲームにおける真の勝負ポイントだ。ゴール前の甘いバックパスによる危機こそいただけないものだったが、それが逆にカンフル剤となったか、見事にペースを握ってゲームを進める。相手の消沈した精神をそのまま抑え付けるような理想の展開。ギリシャは交代枠を使い切っていたのが痛かったろう。
- 日本は危なげなく、かつ攻撃的に時間を使い切ってタイムアップ。スコアこそ1-0だったが、後半立ち上がりを除けばほぼゲームを支配しての完勝だった。
終わってみれば、前節の問題をほぼ全て踏まえた上で劇的にチームを向上させた日本の姿が際だった試合だった。あの最悪だった左サイド――アレックスでさえ、いくらかはパフォーマンスを取りもどしていたように。この「復活」が相手に恵まれてのフロックなのかどうかは、次節――「本気モードのブラジル」戦で明らかになると思う。正直勝てるとは思わないが、一気に楽しみが増えたようだ。