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「ほしのこえ」と三回唱えてみれば。

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「ほしのこえ」と三回唱えてみれば。

雲のむこう、約束の場所」を日曜夜の最終回で同居人と共に観賞してきた。いろんな意味で想像以上だった。100点満点で評価を付けるなら96i点(iは虚数記号)を付けたい、という感を抱いた。

_とにかく驚嘆するべきは、90分間見れてしまうことだろう。

凄い映像作品だった。だがしかし、これは映画ではないと感じた。にも関わらず、確かに90分間を客を楽しませることができる作品であり物語であった。

単なる映像美でではない。展開される映像には、物語を感じさせる演出力の裏付けが確かにある。個々のシーンは単に綺麗な画面ではなく、それぞれに情感を訴えてくる。そしてそのクオリティは、全篇に渡って保たれる。

_だが、通してみたとき、それは映画ではないのだ。

映画としては、およそ褒めるべきところがない。おそらくは、ストーリーとしての芯の弱さなのだろう。構成は稚拙と言ってもよい。或いは、いわゆるバカ映画にあるような「他のあらゆるものをぶっちぎってでもこれだけは見せるぜ!」的な割り切りも感じない。

だがしかし、そんなものだったにも関わらず、確かに「雲のむこう〜」は90分間観客を引きつけ、物語を感じさせるのだ。

_これは、「ほしのこえ」のやりくちそのままだ。あれもまたストーリーとしては散漫としていてしかし物語を感じさせるものだった。丁度、「ほしのこえ」をそのまま三倍に引き伸ばしたような。「雲のむこう〜」はそんな作品だろう。

正直、そのまま三倍に引き伸ばせるとは思っていなかった。だから、三倍に引き伸ばしてそれでもなお作品として成立していることに驚嘆した。そしてそれを成立させる演出力が想像以上のものだったことを知った。そして事前に想像していたよりずっと「映画」ではなかった。

_とんでもない才能を感じると同時に、とんでもない袋小路をも感じた。あるいは自分の知らない「映画」が存在するということなのかも知れない。画面の持つ高い密度と裏腹に、限りなく低い物語の密度。しかしそのアンバランスを成立させる演出力。

そのアンバランスさが魅力なのだろう。だが同時に、欠点でもある。

_とにかく「とんでもない」ものだった。それだけは、確かだった。

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