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Path Finding IV

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Path Finding IV

結局半分以上を僕が消費したシャンプーのボトルが空になった。

気がつくともう半年にもなった。

ほんとうは彼女に使いきって欲しかった。むしろ、足りなくなって買い足して欲しかった。部屋にはまだ彼女のための品がある。僕が使える品もあり、使えるけれども滅多使わない品もあり、あるいは僕には到底使えないであろう品もある。

風呂場に置いてあった中ぐらいのサイズのシャンプーのボトルが、僕にも一番使える品だった。そして、最初に使い切った品になった。こういうふうにして僕を取り巻く現実は擦り切れ、同様に記憶も擦り切れていくのだろう

_彼女の選択は間違っていると思うし、ずうっとそれは間違いだと思い続けるだろう。

だけれど彼女がいたことや共にあったことは否定したくない。それでも世界は変わっていくし、彼女が不在の世界は彼女が不在であるべくその隙間を擦り減らして行くだろう。

彼女が傍らに思った不在が、幻であったなら。

だがそれは僕らにとっては幻だったが、彼女にとっては幻でなかったのだ。その違いが今ここにある彼女の幻につながり、そして幻は削られて行く。

それは傍らの僕らにとっては幻ではなく現実なのだが、誰かにとっては間違いなく、幻なのだ。

_結局僕も、彼女と同じように愚かなのだ。

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