近頃版/another blog@hatena/Wiki/BBS
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今大会もっとも強固な守備組織を持ったチームは、間違いなくギリシアだろう。いわゆる「大国」のうち守備的であったチームと比較するのは馬鹿らしい。個のディフェンス力に優れるものの半端な「攻撃的」を標榜してしまったイタリア、個のレベルの凋落が明らかだったドイツ、タレントの豪華さを活かして大人しく攻撃的チームにすればよかったのに監督の趣味で守備的になってしまったイングランド――何れも「チーム」としての出来は不十分だった。今大会でギリシアが見せたパフォーマンスは、(ロシア戦を除けば)間違いなく最上のものだろう。強固でアグレッシブな守備をベースとした、カウンターとセットプレーで少ない好機を確実に点に結びつける、高くて強くて速いチームだ。
_もう一つよい守備的チームを上げるならスウェーデンだろうが、これは準々決勝でオランダに敗れた。そのオランダを破ったのは、奇しくも開幕戦でギリシアに撃破されたポルトガルだった。
_ゲームは予想通り、激しくも膠着した戦いになった。ギリシアの守備は相変わらず激しかったが、ポルトガルの攻撃は大会を通じて確実に進化していた。C・ロナウドやデコをその象徴と見ることもできようが、この試合においては明らかに別のポイントがあった。右サイドバックのミゲウだ。
_流れは明らかにギリシアのペースだった。前半、ポルトガルは攻めてはいるものの、ギリシアの守備網がきっちりと形を封じていた。例外はそれこそミゲウの上がりぐらいのもので、そのミゲウは負傷。後半、膠着は更に進んでいく。
そして57分、コーナーキックからハリステアスのヘッドで、ギリシアが先制。
ポルトガルはルイ・コスタ、ヌーノ・ゴメスと投入して局面の打破を図った。特にルイ・コスタは中盤深くからの大胆な進出で幾度も好機を演出した。だが、噛み合わない。フィーゴとルイ・コスタが素晴しいコンビネーションを見せるも、もう一人がいない。若いC・ロナウドの強引さが空回りし、期待のデコも大会前から噂されていた疎外をそのまま体現するようにフィットできない。焦りが個人をバラバラにし、ギリシアのしつこい守備がその解体を加速させる。
結局、ゲームは完全にギリシアのペースになった。相手のチームとしての機能を破綻させ、己の高さと強さを信じたパワープレーを貫き通した。
_今大会のギリシアは、強いときのイタリアやドイツのようなチームだった。こういうチームに勝てるチームは――歴史をもって考えるならば「王国」ブラジルが筆頭だ。フットボールにおいて、テクニックとイマジネーションは全てを打破しうる。フェリペ監督はポルトガルにブラジルのようなチームを演じさせようとしたのだろう。だが、ポルトガルにはそのポテンシャルが不足していた。片鱗こそ感じたが、結局はギリシアに飲み込まれた。
_正直、判定や相手の負傷に助けられた面もあったと思う(特に、デコに対するファールの見逃しは)。だが、ギリシアがみせたチームとしてのディシプリンは間違いなく一級品だった。スペクタクルもファンタジーもないが、そのディシプリンは優勝するに値するレベルであった。
古臭いスタイルのフットボールでも、貫き通せば見事なチームになる。ギリシアはそのことを立派に証明した。この見事なチームには、もっと色々な相手と戦って欲しい。とりあえずは、2年後のW杯を楽しみにしたい。