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ギリシアは今大会屈指の好チームと言っていいだろう。だが、ここまでの対戦では相手に恵まれてきた感も強い。グループリーグのポルトガル、スペインは共に本来の地力を活かせていない不甲斐ないチームだったし、準々決勝のフランスにしてもそうだった。
対するチェコは、優勝候補と呼ばれたチームで唯一、文句の付けようのない結果でここまでを進んできた。ギリシアにとっては今大会はじめての、魂を持った真のチームとの対戦となる。
_クオリティでは正直チェコが上だろう。だが、ギリシアはこれまでもクオリティで上回る相手を魂でねじ伏せてきた。その魂が、同じく魂を持つチーム相手にどこまで通用するか、そんなところが見所だろうと、戦前には予想した。
_試合展開は予想通りとなった。ギリシアは、これまでと全く同様にマンマークを主体とした中盤からの激しい守備を敢行する。ボール支配はチェコにあるものの、決定機は支配率ほどには訪れない――全く今大会のギリシアそのものの展開だ。
この展開を、後半に入ってからチェコのブリュクネル監督がどう修正するか――戦術的なポイントはそこだろうなと思っていたが、しかし不幸をチェコが襲った。
ゴール前の競り合いでネドベドが負傷したのだ。中盤に変化をもたらせる上に強烈なミドルシュートも持った、ギリシアのような相手にはうってつけの選手が、である。一度はピッチに戻ったが、結局シュミチェルと交替した。
_後半。やはりネドベドの負傷は計算外に過ぎたのだろう。緒戦でブリュクネル監督が振るってきた魔法の交替が飛び出さない。あるいは、相手の良さを消すことを愚直なまでに徹底するギリシアに対しては、振るう策がなかったのかもしれない。
ネドベドの負傷があると言えど、ギリシアは本当に強いことを証明していた。相手を呑み込むうわばみのような強さだ。結果、互いに攻め合い守り合う激しい展開がひたすらに続き、均衡は破れなかった。
_延長、である。
気温が低いことも手伝ってか、互いの運動量は減っていない。シルバーゴール方式とは言え、間違いなく一点勝負となるだろう。
延長もそのままのゲームが進んで、104分だった。愚直なまでの継続に、遂に運が微笑んだ。コーナーキックから本当にあっさりと、ギリシアが先制した。残りは1分。およそギリシア相手には、無に等しい時間である。チェコの選手が崩れ落ちる。事実上のゴールデンゴール。再開のキックオフはあったのだろうか。終了の笛が鳴り、歓喜と落胆が明確なコントラストとなって展開された。
_美しくもなければスペクタクルもないが、ギリシアは間違いなく強い。ただ勝つために、愚直なまでに自分たちの形を繰り返すチームは、かつてのドイツかイタリアのようだ。
これで奇しくも決勝は、開幕と同じカードとなった。
ひたすら継続したギリシアと、苦汁から復活したポルトガル。きっと、美しくもなければスペクタクルでもない試合となるだろう。だが、ひどく楽しみだ。