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< 下妻物語 | 夏向け >
誰もが殴りあいのゲームを期待したカードは、監督の差で決まった試合となった。
_オランダは伝統的な攻撃的4-3-3、対するチェコは普段の4-1-4-1を若干アレンジした4-1-3-2というべきスタイルで開始。そして、お互い攻撃的なゲームを展開する。流れは五分に近かったが、立ち上がりの幸運はオランダに微笑んだ。4分、19分と立て続けにゴールを奪う。しかしチェコの命運は尽きなかった。その直後、23分にパスミスのインターセプトからラッキーなカウンターが決まって2-1。
_そしてそこからが、もう1人のプレイヤー――監督の腕の見せどころとなった。
_ブリュクネル監督は、名監督と呼ぶに相応しい。常に意志を持った戦術的采配を駆使する監督だが、この試合でも全ての采配に明確な理由があったように思う。
1点返したにも関わらず断行された25分のグリゲラ→シュミツェルはオランダのサイド、というかロッベン封じと見てよかろう。
62分のガラセク→ハインツはロッベンがいなくなったことによって減ったプレッシャーを攻撃に回すため。
75分のコラー→ロゼフナルは引き分け狙いというよりは、スコア的に打ち合いになることを予見した上で、ポスト役(=攻撃スペースのコーディネート)のコラーを不要と判断してのシステムチェンジが狙いだったのではないか。
選手の入れ換えに柔軟に対応する選手のクオリティがあって始めて可能になるやり方だが、その上で采配でチームの実力を完全に発揮させる手腕は、ヒディンクあたりと比肩するものだろう。
_対するアドフォカートの采配は、消極的で平凡な狙いしか持たないものだった。
59分のロッベン→ボスフェルトは特に酷かった。確かにロッベンのプレーの危うさ(いつレッドカードを貰ってもおかしくない雰囲気はあった)は気にかかったろうし、そこも含めてセーフティを取りたかったのであろう。だが、間違いなくMoM級の働きをしていた選手を交替させるのは解せない判断だった。79分ファンデルメイデ→レイツィハーは、ハイティンハの退場を受けての間に合わせの交替。86分セードルフ→ファンデルファールトの交替も、単にフレッシュな選手を入れようというだけの交替だろう。
_PKを取らないが、危険なプレーには比較的忠実にカードを出す(でも何度か見逃しはあった)審判に助けられた面もあろうが、それでもチェコは強かった。2-0のビハインドにも関わらず、監督から果敢に攻撃を志向したチェコと、監督の見せた守りの姿勢が選手達の足を引っ張ったオランダ。そんな構図が、そのまま結果に反映されたように思えてならない。
_ともかくもチェコはチームとしてのクオリティの高さを見せつけながら勝利して、何処よりも早い決勝トーナメント進出を決めた。このチームは本当に、強い。