ふりーとーくのTips:

ドラゴンズ・ウィル

富士見ファンタジア文庫刊。著者:榊 一郎 ISBN4-8291-2796-1
第九回富士見ファンタジア大賞準入選作。

感想は「よくないんだけど、細かいところは気持ちいい」 なんちゅうか、話はもうホントどーだっていいぐらいベタベタだし構成もイマイチだしかといって文章がスゲェかと言えばそんなこともない。「こんな小粒で終わっていいのか?」ってぐらい小粒な話である。『同人誌です』と言われたら素直に信じる。
だがしかし、なんか些細な設定が妙にいいのを見るに、作者にセンスの芽はあるのかもしれない。というかはっきり言うとですな、「なんでこの設定使ってこの話しか書けない!」という感がある。
経験が足りんのだろう。数書かせれば育つ気もするが、あとがきを読むに育つ前に消えそうな気もする。
なお、非常に邪な楽しみかたであるが、この本でもっとも大笑いなのは編集部による解説である。過去のファンタジア大賞入選作品の解説と見比べるとわかるが、「定型」の部分がそのまんま載ってるんじゃなかろーか、というぐらい解説が淡白なのだ。要するに、どこも誉めてない。
ファンタジア大賞出の話としてはインパクト弱し。まぁ、俺の読んでるのが強まったとこばっかだという意見はあり。私見では、一読する価値はそんなにない。ただ、いわゆるスレイヤーズ系な話としては、意外にいい。65点。